新型コロナウイルスによるパンデミックが本格化しはじめた2020年春、1つの漫画作品に大きな注目が集まりました。 朱戸アオさんの『リウーを待ちながら』です。ある地方都市で起こった感染症のアウトブレイクと闘う医師たちの物語は、あたかもコロナ禍を予言したかのようなリアルさで、多くの読者に驚愕をもって迎えられました。 先ごろ『科学とはなにか』を上梓した佐倉統さんもその一人。 驚くほどの正確さで非常事態を予見した作品はいかに描かれたのか。フィクションとサイエンスを結ぶ接点を探るスリリングな対談が実現しました! (構成/中川隆夫) 「科学を描く」漫画の強み 佐倉 昨年、新型コロナウイルス禍が広まりつつあった時期に、カミュの『ペスト』など、感染症関連の本を書評エッセイのために探しているなかで、朱戸さんの『リウーを待ちながら』を手に取りました。 感染症で封鎖された街を舞台に、人々が危機を生き抜く物語ですが
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