何かが過剰で逸脱している『まめ夫』の世界 真紀「人生には三つ坂があるんですって。上り坂。下り坂。(苦笑して)まさか」 (『カルテット1』河出書房新社・第1話より) そんなセリフをつい思い出してしまう、まさかの顚末を見せた『大豆田とわ子と三人の元夫』(以下、『まめ夫』)の第6話であった。思えば、我々は油断していた。坂元裕二脚本のドラマでは、たいてい5話か6話で物語に急旋回が起きる。前回、これまで『まめ夫』の世界には出てこなかったタイプの危険人物・門谷(谷中敦)が登場して不穏な空気を漂わせていたが、それは来たるべき衝撃の展開へのミスリードだったのだ。詳しく見ていこう。 第1話の冒頭で、「ラジオ体操がいつも人と合わない」とアナウンスされた大豆田とわ子(松たか子)のように、本作ではいつも世間の普通から“はみ出してしまう”人たちが描かれる。彼らを象徴するように、劇中には何かを飛び出して逸脱する、何か