命の危機に瀕する恐怖にあった時に、人間は、限りなく「本能」のみに突き動かされる状態になるということは、前編の「通り魔に遭い「パニックになる人」と「そうでない人」には、意外な違いがあった…!」でお伝えしたとおりだ。後編では、もしもの時に備えて「パニックに陥らない方法」を経験者の証言を例に紹介する。 男は私に向かってきた 東京都在住の坂一浩さん(54歳)は、2017年5月に千葉県松戸市で発生した通り魔事件で犯人を取り押さえた。 事件が起きたのは、松戸市の公園内にある野球場だった。坂さんの所属する野球チームが試合をしていると、刃物を持った男が乱入してきたのだ。 「私が守備についているとき、包丁を持った男が男性ともみ合いながら球場に入ってきたのです。襲われていた男性が包丁を奪い取り、男の届かない位置に投げ捨てました。 すると、男は近くに落ちていたバットを拾い、試合中だった私たちに殴りかかってきまし