長らく代名詞だった「バスクリン」など低収益部門を売却して漢方薬に集中し、倒産寸前から復活を遂げたツムラ。想定どおりなら今期、過去最高益を達成する。中国に依存する原料が高騰傾向にあり、2年ごとに製品単価が下がり続けるなか、今後も成長路線は続けられるのか。同社の戦略とリスクを追った。(「週刊ダイヤモンド」編集部 柴田むつみ) 「大建中湯(だいけんちゅうとう)は頻繁に処方する。大腸ガンの手術後など、腸管が麻痺して起こる膨満感や悪心などに有効と実感している」(ある消化器外科専門医)。別の神経内科医は「アルツハイマー型認知症による妄想や暴力を抑えるクスリとして抑肝散(よくかんさん)が知られるようになり処方が増えている」と言う。 このとおり近年、西洋医学を基礎とする日本の医療現場で、漢方薬が併用されるケースが徐々に増えている。漢方薬は、中国の医学を起源とし、診断法などが日本で独自に進化した「漢方医学」