新型コロナウイルスのワクチン接種風景。ワクチンへの理解を深める取り組みが急がれている=名古屋市中区の国立病院機構名古屋医療センターで2021年2月19日午後4時2分、兵藤公治撮影 新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと、各国でワクチンへの期待が高まっている。世界最速のペースで接種が進むイスラエルでは、大幅に感染者を減らしたとの報告もある。だが、日本は海外に比べてワクチンへの忌避感が強いという。なぜなのか。その背景に迫った。 日本のワクチン嫌いは根深い――。そんな印象をもたらす調査結果を英ロンドン大などのチームがまとめ、英医学誌ランセットに掲載した。 2015年から19年にかけて、149カ国の18歳以上28万4381人に対し、ワクチンの安全性や有効性についてどう考えているかアンケートした。すると、安全性では、日本は15年が147位、19年が最下位。有効性でも、15年が147位、19年は148
米製薬大手ファイザーと独製薬ベンチャーのビオンテックが共同開発したワクチンを準備する医療関係者。ベルギー・リエージュで(2021年1月18日撮影、資料写真)。(c)Kenzo TRIBOUILLARD / AFP 【2月1日 AFP】過去に日本で起きた予防接種に関わる問題の数々。新型ウイルス感染症拡大の第3波のさなか、それが同国内でのコロナワクチン投与の展開に影響する可能性があると専門家は懸念する。 先進国では近年、ワクチン忌避、さらには反ワクチンといった動きが広がっているが、日本では国民の疑念は何十年も前にさかのぼる。 すでに英国や米国では数百万人が新型コロナウイルスに対する予防接種を受けているが、日本での開始は早くても2月下旬になる。 接種に対する国民の懸念を払しょくする目的もあるのか、菅義偉(Yoshihide Suga)首相は自ら率先して接種すると表明した。 調査会社イプソス(Ip
多くの人たちは小・中・高校時代、性について学んだのは、保健体育などでのほんの少しの時間だったのではないだろうか。性教育を受けていないということは、どういうことなのか。性教育によって、生徒たちは何を学ぶのか。長く学校での性教育に携わり、その現場を見てきた「“人間と性”教育研究協議会」の代表幹事・水野哲夫さんに聞いた。 「先生たちの指導は間違っていた」卒業生の厳しい言葉 水野哲夫さんは25歳で教員になり、私立の女子高に勤め始めた。それから数年後、1980年代初めに、助産師として働く卒業生を招き、学校で後輩たちに話をしてもらう機会があった。その後の慰労会の場で、彼女は水野さんたち教員に、「先生たちの指導は間違っていて、私たちを苦しめた」と厳しい言葉を投げかけた。 彼女が指摘した「指導」とは、コンドームを持っていたりすると、「不純異性交遊」をしているから生活を改めるようにと保護者を呼び出し、三者面
近年、不妊に関する悩みを抱えているカップルの割合は6組に1組と増加している1)。その要因として多様化したライフスタイルによる晩婚化が挙げられる。初めて子供を持ちたいという希望を持って、不妊クリニックを受診するカップルの年齢は男女ともに高い。2013年の厚生労働白書によると、年齢が妊娠に与える影響に関する知識の有無のアンケート調査では、10〜20代の若者のおよそ7割は知識を持っていると答え、聞いたことがないまたは知らないと答えたのは3割であった。知識がある若者たちはテレビ、インターネット、雑誌から情報を得ていた2)。一方、2010年のESHREの調査では、30代以上の日本人女性における妊娠と年齢の関係について、およそ7割が知識の欠如を認めたと報告されており、欧米の2-3割に対し圧倒的に多い数となっている。「閉経するまでは妊娠可能」と思われて来院されるカップルにも遭遇する3)。 女性の年齢変化
日本学術協力財団の雑誌『学術の動向』22巻8号(=通巻257号) (2017年8月) に書いた記事「非科学的知識の広がりと専門家の責任: 高校副教材「妊娠のしやすさ」グラフをめぐり可視化されたこと」が J-STAGE (科学技術情報発信・流通総合システム) で公開されました。 http://doi.org/10.5363/tits.22.8_18 「「卵子の老化」が問題になる社会を考える―少子化社会対策と医療・ジェンダー」という特集の一部です。 この記事と特集、その元になった2016年6月18日の日本学術会議シンポジウム、そしてそもそも医学批判に私が首を突っ込むきっかけになった文部科学省作成の保健科目用副教材『健康な生活を送るために』(2015年度版)における「妊娠のしやすさ」改竄グラフ問題についてはすでに何度か書いているので、そちらもお読みください。 http://tsigeto.inf
専門家・政府・メディアの責任 非科学的知識の広がりと専門家の責任: 高校副教材「妊娠のしやすさ」グラフをめぐり可視化されたこと では、専門家 (産婦人科医) の責任を中心にとりあげました。記事の最後からふたつめの段落ではつぎのように書いています。 一方で、専門家の側からは、この事件についての説明は、これまでのところおこなわれていない。日本生殖医学会は、2015年9月に、副教材のグラフについて使用を推奨するとの理事長コメント(苛原 2015)を出している。また、前述の要望書を出した9団体は、この問題を追及してきた「高校保健・副教材の使用中止・回収を求める会」の質問書に対し、副教材の訂正後のグラフ(Wood (1989) などによる22歳ピークのグラフ)は「適切なグラフ」であり、IFDMSの結果利用も「適切である」とする回答を寄せている(西山・柘植 2017: 60-74)。しかし、これらの研
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