[Part1] 歴史は繰り返すのか? イラストレーション 橋本聡 理財局は財務省に五つある局の一つだ。「理財」の用例は、中国の古典「易経」にある理財正辞(財を理(おさ)め辞を正す)の記述にさかのぼる。広辞苑によれば、貨財を有利に運用するという意味だ。 現在、9課計364人の職員が、国債や国有財産の管理、財政投融資の運営などを担っている。 国の歳出をつかさどる主計局や、税を担当する主税局に比べれば地味な存在にみえるが、他にはない特徴がある。 「理財局は、霞が関と市場の接点だ」。理財局を経験した財務官僚らは、こう口をそろえる。 国債を売って市場からお金を調達し、一方で国有財産を民間に売ったり貸したりしているからだ。理財局長の中村明雄は「マーケットといろいろな接触をすることで、霞が関にない風を感じる。民間と同じ土俵で仕事をすることも多い」という。 主税局や主計局の仕事は、国家の権力行使の色彩が強