<日本製鉄による買収・子会社化に、官民挙げて「NO」の大合唱。だが労組さえ合意すれば、いつでも「YES」に転じる> かつての鉄鋼王国アメリカの象徴ともいえる会社USスチール(1901年創業)を、日本企業(日本製鉄)が買収して子会社とする──ある意味「歴史的」ともいえるこの案件で、両社が合意に達したのは昨年12月のことだ。 しかしジョー・バイデン米大統領は去る3月14日の声明で、USスチールが「今後もアメリカ企業であり続け、国内で所有・運営されていくことは死活的に重要」だと述べて買収に待ったをかけた。今秋に迫る大統領選で苦戦を強いられているバイデンとしては、少しでも支持率を回復したい思いがあったのだろう。実際、翌週にはUSW(全米鉄鋼労組)がバイデン再選支持を正式に表明している。 ただしUSWは、今回の買収提案を頭から否定してはいない。今も買収を承認するために必要と考える条件を満たすべく、水