フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、21世紀版のシャルル・ド・ゴールになることを夢見ており、彼の夢想の中には欧州が米国と距離を置くべきだとする考えも含まれている。しかし彼は先週末、中国共産党トップ・習近平国家主席と会談した後という最悪のタイミングでド・ゴール主義的なひらめきを示してしまった。 マクロン氏は、米政治情報サイト「ポリティコ」の記者と仏ジャーナリスト2人とのインタビューの中で、「不可解なのは、パニック状態の中で、欧州は米国の単なる追随者だとわれわれ自身が信じてしまっていることだ」と語った。「欧州が答えるべき問いは、台湾をめぐる(危機的)状況を加速させることがわれわれの利益になるかであり、その答えはノーだ。さらに悪い事態とは、われわれ欧州市民がこの問題で米国の追随者となり、米国の計画と中国の過剰反応に対応しなければならないと考えることだ」と述べた。 台湾をめぐる危機は誰も望ん
大手会計事務所KPMGは米シリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻するわずか14日前に、監査で「お墨付き」を与えていた。KPMGは当時、「監査上の重要な事項(CAM)」として、融資で損失が発生するリスクについては注意喚起していた。ただ、監査意見では破綻を招いた実際の要因――保有する債券の含み損と、こうした債券の保有を続ける能力――については触れていなかった。 ミシガン大学のエリック・ゴードン教授は今回の監査について「地下で起きている火事や1階に置かれたダイナマイトの箱には言及せず、一方で花器の塗装が剥がれていることを指摘するようなものだ」とし、「どうして金利リスクを見逃すことができるのだろうか?」と述べた。 CAMには財務諸表に埋もれたリスクや不確実性を投資家が把握しやすくする目的がある。CAMは今回の銀行危機で、導入後初めてその真価を問われることになった。...
アントニー・ブリンケン米国務長官は5日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシコビッチ記者がロシアの刑務所に収容されていることについて、不当に拘束されていることは「疑いの余地はない」との認識を示した。だが、国務省として「不当拘束」と正式に認定するまでの手続きは進行中だと述べた。 ゲルシコビッチ氏は先週、スパイ行為に関与したとして取材目的での出張中に逮捕された。 正式認定は釈放に向けた米政府の取り組みの強化につながる。認定後は、国務省内で人質や不当に拘束されているとされる米国人の解放に向けた交渉を行う人質問題担当の特使に対応が委ねられる。 北大西洋条約機構(NATO)の閣僚会議に出席していたブリンケン氏は記者団に対し、最近行ったロシアのセルゲイ・ラブロフ外相との電話会談で、ゲルシコビッチ氏の拘束は不当で容認できないと表明したと指摘。ゲルシコビッチ氏と類似の容疑で拘束されて
【モスクワ】ロシアによるウクライナ侵攻開始当初は、石油・ガス価格が跳ね上がり、ロシアに思わぬ巨額の利益をもたらした。だが、こうした局面は終わった。 戦争が2年目に突入する中、西側の制裁による打撃が広がり、ロシア政府の財政は厳しさを増している。経済は低成長軌道へとシフトし、長期的に脱却できない可能性が高まっている。 主要輸出品目である石油・ガスは主要顧客を失い、財政は悪化。通貨ルーブルは昨年11月以降、対ドルで20%余り下落した。若者は前線に送られるか、徴兵への懸念から国外へ逃れ、労働人口は縮小。不透明感が重しとなり、企業の設備投資を抑制している。 「ロシア経済は長期の衰退局面に入っている」。ロシア銀行(中央銀行)の元当局者で、ウクライナ侵攻後にロシアを離れたアレクサンドラ・プロコペンコ氏はこう予想する。 短期的にロシアの戦費調達を脅かすほど、経済への打撃が深刻であることを示す兆候はまだ見ら
――筆者のイアン・ブルマ氏は米バード大学教授(人権・ジャーナリズム)。近著に「The Collaborators: Three Stories of Deception and Survival in World War II(協力者たち:第2次大戦の生き残りと策略に関する三つの物語)」がある *** ドイツのオラフ・ショルツ首相は、今この瞬間を「時代の転換点」と呼んでいる。日本では、お笑い芸人のタモリが発した「新しい戦前」という(やや曖昧な)フレーズが、ほぼ同じことを表すのに使われている。すなわち、ロシアによるウクライナ侵攻を機に、両国は自国の軍事面の備えをより真剣に考えざるを得なくなったということだ。 昨年2月、ショルツ氏は1000億ユーロ(約14兆0600億円)の資金を投じてドイツのなおざりにされてきた軍事力を強化し、北大西洋条約機構(NATO)が加盟国に求める国内総生産(GDP)比
欧州連合(EU)では複数の主要国が、ガソリン車など内燃機関車を事実上禁じる域内の計画を阻止する構えを見せており、これが野心的な気候変動対策の実現を危うくしている。 ドイツとイタリア両政府は今週、こうした計画の承認を阻止する可能性があると言及。ドイツ政府は完全な電気自動車(EV)に加えて、ガソリンやディーゼルのように燃焼しながらも環境に影響を及ぼす排出が少ない、いわゆる合成燃料も認められなければ計画に反対するとしている。 欧州では、欧州委員会のリーダーシップの下、気候変動の原因となる温室効果ガス排出に対処する野心的計画を導入している。この計画では、EVの大幅な促進に加え、2035年から内燃機関車の新車販売を事実上禁止することが柱となっている。 だがEU域内の製造業就業者の12%に相当する340万人を雇用する自動車業界の一部では、合成燃料も計画に含めることで排出量削減目標を達成しながらもコスト
電気自動車(EV)への移行は不可避というのが自動車メーカー幹部のほぼ一致した意見だ。だが、キモは「どれほどのペースで移行するか」であり、これをどう判断するかで経営戦略も変わってくる。 従来の自動車メーカーは段階的にガソリン車からEVに移行する方針を表明しているが、各社の予定には開きがある。自動車メーカーにとっては、消費者に先行してEV投入を急げば、コストが膨らみ、ガソリン車の販売が落ち込みかねない。ガソリン車の売上高はEV投資への原資として不可欠だ。 一方で、EV投入でライバル勢に後れをとれば、今後数十年の大きな成長分野とみられる市場で、自社ブランドを確立する機会を逸してしまう恐れがある、と幹部らは話す。 ...
中国が保有する地上配備の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射台の数は米国を上回っている。米軍が議会への報告で指摘した。
【ワシントン】ウクライナで起きた戦争により、米国が中国と長期戦を戦う上で障壁となりうる問題を軍需産業が抱えていることが浮き彫りになった。首都ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所のシニアバイスプレジデント、セス・ジョーンズ氏が調査報告書で指摘した。 昨年のウクライナ侵攻以来、米国は同国に270億ドル(約3兆5300億円)以上の軍装備品や物資を供与すると表明し、ロシア軍への反撃を支援している。 だが戦闘が長引くにつれて米国の武器在庫が落ち込み、防衛関連企業は在庫を迅速に補充できる生産能力が欠如していることが露呈。米国が戦略的危機に直面していることが鮮明になったという。 同氏はインタビューで「個人的見解だが、防衛産業は今の安全保障環境に対応できる態勢にはない」と指摘。むしろ「平時の環境に適した」方法で運営されているという。...
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