「福島の問題」として特殊化される福島の現在。だが、実は福島の問題は日本が直面する普遍的な課題と直結している。その認識なくして真の復興は訪れない。 「人口流出」の誤解 東日本大震災、福島第一原発事故から4年。さまざまな問題が今も未解決なままだが、あまり意識されないながら、最も大きな問題の一つとなっているのが「理解の復興」だ。 人々が持つ「福島のイメージ」は誤解にまみれている。 例えば、福島からの人口流出についてのイメージ。 私はこの4年間で200回ほど講演会を行ってきたが、いつもその冒頭で聞いている質問がある。それは「震災前に福島県で暮らしていた人のうち、現在福島県外に避難する人の割合は?」という問いだ。 多くの人が「10%」「いや、60%ぐらいだろう」「40%ぐらいではないか」などと答える。これらの声は、実際に日本に暮らす人の認識と大きく乖離(かいり)するものではない。 例えば、東京大学の