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ブックマーク / www.nippon.com (93)

  • 誤解にまみれた福島の「理解の復興」のために

    「福島の問題」として特殊化される福島の現在。だが、実は福島の問題は日が直面する普遍的な課題と直結している。その認識なくして真の復興は訪れない。 「人口流出」の誤解 東日大震災、福島第一原発事故から4年。さまざまな問題が今も未解決なままだが、あまり意識されないながら、最も大きな問題の一つとなっているのが「理解の復興」だ。 人々が持つ「福島のイメージ」は誤解にまみれている。 例えば、福島からの人口流出についてのイメージ。 私はこの4年間で200回ほど講演会を行ってきたが、いつもその冒頭で聞いている質問がある。それは「震災前に福島県で暮らしていた人のうち、現在福島県外に避難する人の割合は?」という問いだ。 多くの人が「10%」「いや、60%ぐらいだろう」「40%ぐらいではないか」などと答える。これらの声は、実際に日に暮らす人の認識と大きく乖離(かいり)するものではない。 例えば、東京大学の

    誤解にまみれた福島の「理解の復興」のために
  • 「最後のオウム裁判」結審—20年を経て明らかになったマインドコントロールの実態

    オウム真理教元信者・高橋克也被告の一審判決で、20年前の地下鉄サリン事件など教団による一連の事件をめぐる刑事裁判は大きな区切りを迎えた。あらためてオウムが優秀な若者を犯罪者に変貌させた背景を検証する。 192人が起訴されたオウム裁判、すべての一審審理を終えて ようやく終わった。17年間の逃亡の末に逮捕されたオウム裁判最後の被告人、高橋克也被告に対して、4月30日東京地裁が無期懲役の判決を言い渡し、一連のオウム事件の裁判は、すべての一審審理を終えた。高橋被告は控訴しているが、通常、控訴審では一審のように法廷での証拠調べに時間をかけない。最高裁で判決が確定するには、あと数年を要するだろうが、司法の場においてオウム事件の真相を調べるというプロセスは、これで大きな区切りを迎えたと言ってよい。 元オウム真理教信者の高橋克也被告は、17年間の逃亡生活の後、2012年6月15日東京都大田区で身柄を確保さ

    「最後のオウム裁判」結審—20年を経て明らかになったマインドコントロールの実態
  • 東日本大震災から4年 「地元負担イコール自立ではない」

    他の被災地以上に町の中心部が壊滅した宮城県女川町。それにもかかわらず、駅などの中核施設が相次いで完成し、復興の歩みの早さが注目されている。須田善明町長に2年ぶりに単独インタビューを行い、復興事業の現状や課題について聞いた。 須田 善明 SUDA Yoshiaki 1972年女川町生まれ。明治大学経営学部卒業後、広告代理店勤務を経て、1999年から宮城県議会議員を3期務める。震災後の2011年11月、女川町長に初当選。 心強い漁業・水産加工業の立ち直り ——中心市街地では2015年3月に女川駅が4年ぶりに再開し、地元産業にとって特に重要な港の復旧ぶりも目覚ましく、付近には新しい水産加工場も相次いで完成しています。復興の道筋が見えてきたのではないですか。 須田善明・女川町長 まだまだこれからです。新駅舎が完成したのは大きな一歩で、何より基幹産業の漁業、水産加工業が立ち直ってきたのは心強い。昨年

    東日本大震災から4年 「地元負担イコール自立ではない」
  • 日本の電源構成:2030年の原発比率20~22%へ

    将来の日に望ましい電源構成(エネルギーミックス)はどうあるべきか。政府は2030年時点の電力供給を原子力発電で20~22%、再生可能エネルギーで22~24%賄う方針を決めた。ただ国内ではなお意見は分かれている。 再生可能エネ比率は22~24%政府は2015年6月1日開いた総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の小委員会で、2030年時点の日の望ましい電源構成として、 再生可能エネルギー(※1)22~24% 原子力20~22% 石炭火力26% 天然ガス火力27% 石油火力3% とする原案を固めた。再生可能エネがほぼ倍増し、現在稼働ゼロの原発も復活する。 電源構成案とともに、家庭用や自動車用、工場用の燃料などを含む一次エネルギー(※2)の15年後の構成案についても 石油32% 石炭25% 天然ガス18% 再生可能エネ13~14% 原子力10~11% とした。これらの比率は、今夏に

    日本の電源構成:2030年の原発比率20~22%へ
  • 「和解学」創設を——「対日新思考」の馬立誠氏、体調押し講演の旅

    「和解学」創設を——「対日新思考」の馬立誠氏、体調押し講演の旅 Newsfrom Japan 政治・外交 2015.07.07 馬立誠 MA Licheng 1946年生まれ。中国四川省成都出身。『中国青年報』評論部副主任、『人民日報』評論部主任編集者(論説委員に相当)、香港フェニックステレビ評論員を歴任。2002年、中国のオピニオン雑誌で「対日関係の新思考」を発表。内外で反響を呼ぶ。現在は北京を拠点に言論活動を続けている。著書に、『<反日>からの脱却』(中央公論新社)、『謝罪を越えて――新しい中日関係に向けて』(文春文庫)、『反日――中国は民族主義を越えられるか』(中公文庫)、『歴史的拐点――中国歴朝改革変法実録』、『交鋒三〇年――改革開放四次大争論親歴記』、『当代中国八種社会思潮』(邦訳『中国を動かす八つの思潮――その論争とダイナミズム』科学出版社東京)など。 潮目の変わり目か、習近平

    「和解学」創設を——「対日新思考」の馬立誠氏、体調押し講演の旅
  • シンポジウム「3.11後の報道や危機管理のあり方を探る」報告(パート2)

    シンポジウム「3.11後の報道や危機管理のあり方を探る」では、ビル・エモット氏による基調講演の後、第1部では3.11後のメディアによる報道についてのパネルディスカッション、第2部では政府や企業などの危機管理についてのパネルディスカッションを行った。 「メディアは3.11後の日をどう伝えたか?」~第1部討論 近藤大博氏(『中央公論』元編集長) 第1部のパネルディスカッションでは、『中央公論』元編集長の近藤大博氏をモデレーターに、ビル・エモット氏のほか、毎日新聞論説委員(科学担当)の青野由利氏、gooニュース編集者で翻訳者の加藤祐子氏、南ドイツ新聞東京支局長のクリストフ・ナイハード氏が、「メディアは3.11後の日をどう伝えたか?」をテーマに討論した。 日メディアは情報を隠したか?~青野氏 青野由利氏(毎日新聞論説委員[科学担当]) 青野氏は、原発事故後、毎日新聞が社説でどのような主張をし

    シンポジウム「3.11後の報道や危機管理のあり方を探る」報告(パート2)
  • 「中東メディアからの緊急レポート」 安倍首相の歴訪成功に反発か

    歴史的な総理の中東歴訪に、“慨嘆”の結末 日人の一般市民2人に対する忌わしいテロ誘拐事件が発生した。2人はISIL(イラクとシャームのイスラム国)を名乗る集団メンバーの手によって捕われたものである。事件は、安倍晋三首相がエジプト、ヨルダン、イスラエルおよびパレスチナの中東4カ国を歴訪し、あらゆる面で成功を収めた歴訪の最終日に合わせるかのように発生した。 日の寛大な支援を受け入れた訪問各国は、安倍首相の中東歴訪を建設的で期待をはるかに上回る結果という祝賀で締めくくるかわりに、誘拐事件で日政府が2億ドルの身代金を支払わなければ72時間以内に人質を殺害するという脅迫を受け、悲嘆と懸念に暮れることになってしまった。 今回のテロ犯罪事件は、中東各国の喜びと歓喜に水を差し、アラブと日の双方を今まさに起きている悲惨さのどん底に陥れたと言えよう。 アラブのことわざに言うように、事態は「喜びは成らず

    「中東メディアからの緊急レポート」 安倍首相の歴訪成功に反発か
  • 高い評価を受けた安倍首相中東歴訪、「中庸」をアピール

    安倍首相の中東4か国歴訪に対する現地・エジプトからの報告。人質事件とは裏腹に、首相歴訪を高く評価する現地の理由と背景は何か。 安倍晋三首相の中東諸国歴訪(2015年1月16日〜20日)は、過去2年間で5回目の中東訪問にあたり、エジプトでは官民双方から相当な関心をもって迎えられた。1月20日にISILによる邦人2人の身代金要求事件が起きたものの、歴訪に対するアラブ側の有識者、専門家や外交官による評価は、成功である100点満点だけではなく、満点を上回るレベルだという驚くべき評価まで出た。 首相がエジプトを発った後の1月19日、カイロ中心部の外交官クラブで、ワヒーブ・アルミニヤーウィー元駐日エジプト大使の主催による、香川剛廣駐エジプト日大使を迎えての昼会が開催された。エジプト政府の閣僚や高官、歴代の元駐日エジプト大使、作家、知日派ジャーナリストなどが参加した。 期待を上回る建設的な成果 今回

    高い評価を受けた安倍首相中東歴訪、「中庸」をアピール
  • 浮体式洋上風力発電「ふくしま未来」運転開始

    福島県沖で11月11日、2000kwの風車が回り始め、浮体式洋上ウィンドファーム(風力発電所)の実証研究事業がスタートした。来年度中に設置される7000kw風車2基が動き出すと、発電規模は合計1万6000kwとなり、浮体式では世界最大となる。日政府は同事業を、東日大震災・原発事故で傷ついた福島県の復興のシンボルと位置付けた上、風車産業の一大集積拠点に育てたい考えだ。 14年度中には7000kw2基を追加 楢葉町沿岸から約20km離れた水深約120mの海域で送発電を開始したのは浮体式洋上風力発電設備「ふくしま未来」。発電された電力は海底ケーブルを通じて東京電力広野火力発電所(広野町)横で東北電力の送電線に接続。約1700世帯分の消費電力量をまかなう。 風車のブレード(3枚)の長さは各40m、直径だと80m。風車は日立製作所製のダウンウィンド型だ。水面から風車最高点までは106mで、新宿な

    浮体式洋上風力発電「ふくしま未来」運転開始
  • 「右傾化」のまぼろし――現代日本にみる国際主義と排外主義

    の「右傾化」が国内外のメディアで盛んに論じられている。それは日の現状を正しく反映しているのか。集団的自衛権行使容認やヘイトスピーチなど、いわゆる「右傾化」現象の質に迫る。 「右傾化」論を読み直す 昨今、日および海外のメディアでは、現在の日における「右傾化」の傾向がしばしば論評の対象になっている。たとえば、『ウォールストリート・ジャーナル』(電子版、2014年2月26日配信)には、「アジアでの緊張関係が日に右傾化をかきたてた」(Tensions in Asia Stoke Rising Nationalism in Japan)と題する長文の署名記事が載っている。そこでとりあげられているのは、一方では『WiLL』のようなナショナリストの雑誌が売れ、中国韓国をあからさまに侮蔑する書物が大量に刊行され、選挙においても同様の主張をする候補者が選挙で多くの票を得るといった社会の「全体

    「右傾化」のまぼろし――現代日本にみる国際主義と排外主義
  • 日本の公務員は国際スタンダードなのか

    行政改革の名の下に公務員の人員削減と給与引き下げが続く日。しかしその方向性に問題はないのか。欧州信用危機を機に注目された南欧諸国の公務員制度が抱える問題点を参考に、日公務員改革を考え直す。 日公務員改革はどこへ? 日公務員制度改革をめぐる議論の中でよく耳にするのは、公務員の数が多すぎる、業務に向かうモラールが低い、そのため無駄が多い、という指摘であろう。しかし、日の労働人口に占める公務員数(一般政府雇用者数)の比率は、6.7%と極めて低い水準で、OECD諸国でも下から2番目の33位である(OECD 2011)。 OECD諸国との比較を通じて見る限り、日の労働市場における公務員比率の低さは明白であり、公務員の数を減らすことが必ずしも無駄の削減や経済効率の改善に直結するとは言えない。また、給与の削減による待遇の悪化は、公務員を目指す若年層の減少につながり、むしろ、公共サービス

    日本の公務員は国際スタンダードなのか
  • ムスリムになった日本人

    「砂漠の向こうの宗教」と捉えられがちのイスラム教。しかし、今や世界は4人に1人がムスリム(イスラム教徒)という時代。東京ジャーミイに勤務する下山茂さんに、ムスリムになったいきさつと日におけるイスラム教の現状について話をうかがった。 下山 茂 SHIMOYAMA Shigeru 東京ジャーミイ・トルコ文化センター勤務。1949年岡山県生まれ。1969年早稲田大学政治経済学政治学科入学。在学中、早稲田大学第二次ナイル河全域調査隊の一員としてアフリカのスーダンへ赴く。1年に及ぶ滞在中、ムスリムの村を転々とする。帰国後、出版社の勤務を経てイスラーミックセンター・ジャパンの設立に参画。『アッサラーム(イスラムの総合雑誌)』『イスラーム入門シリーズ(礼拝・喜捨・断・巡礼他)』『ワクフ――その伝統と作品』『ムスリムの考え方を知る』などイスラム関連図書の編集・出版に携わる。 日人イスラム教徒(ムス

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  • 福島沖で始まった浮体式洋上風力発電 | nippon.com

    2011年3月の東日大震災と福島第一原発事故で、甚大な被害を受けた福島県は、再生可能エネルギーの開発に注力し始めている。世界初となる大規模浮体式洋上風力発電の実証実験も開始され、大きな期待が集まっている。 世界も期待する「洋上」風力発電 福島県は「再生可能エネルギー推進ビジョン」を策定し、2040年までに県内のエネルギー需要の100%以上に相当する量のエネルギーを再生可能エネルギーで生み出そうとしている。その実現に向けた主要な試みの一つが、浮体式洋上風力発電の実証実験だ。 洋上風力発電とは、洋上で吹く風を利用した風力発電。一般に、洋上の風は強く、乱れが小さいことから風力発電に適していると考えられており、騒音や景観など陸上のような環境問題も起こりにくい。こうした利点から、陸上での風力発電が盛んな欧米諸国でも洋上風力開発への期待が高く、各国で大規模な洋上ウインドファーム(風力発電所)建設が進

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