ジェンダーギャップ指数はかなり癖がある指標で*1、何かの分析で使うのにはお勧めできないのだが、先進国において「ジェンダーギャップ指数が高い(男女格差が少ない)ほど、出生率は高まる傾向」などと言い出す人々をぽつぽつと見かけるようになった。そんな話を請け売りしている社会学の大学教員もいるのだが、そんな傾向は明らかには観察されないので指摘したい。 1. 内閣府の資料の問題点 冒頭の引用は内閣府政策統括官(経済社会システム担当)作成資料からなのだが、先進国という出生率が低い国を集めたサブサンプルの傾向はただの偶然であることが往々にあるし、そもそも先進国もごく一部ののデータだけで議論していて恣意的な分析になっているし、さらに選んだごく一部の国の傾向すら主張を支持していない。 フランスとイギリスと韓国はジェンダーギャップ指数が上昇したのにもかかわらず合計特殊出生率は下がっているし、日本とデンマークはジ