不用意な発言の誹りは、主務大臣として免れないだろう。 「いろいろな(落札者の)仕組みを見てみたかった」 一月七日、経済産業相・萩生田光一の年明け最初の記者会見―。振り返れば、このひと言がルール改悪の根拠になったと言っていい。萩生田は、三菱商事を主体とする企業連合が独占した洋上風力発電の三海域の入札結果に“遺憾”の意を表明したのだ。さらに「他の事業者も参加しやすい仕組みを検討したい」と口を滑らせた。予兆はあった。 “三菱商事ショック”―。昨年十二月二十四日に発表された入札結果は、こう慨嘆されるほど衝撃的だった。同社の落札価格は一キロワット時当たり十一・九九~十六・四九円と他社の追随を許さない安値であり、失注した日本風力開発、レノバなどの風力ベンチャーは「ダンピング応札だ!」と三菱商事批判の気炎を上げていた。彼らが頼ったのは前首相の菅義偉、二〇五〇年に向けたカーボンニュートラルの宣言者である。