黄色い部屋の秘密〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: ガストン・ルルー,高野優,竹若理衣出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/10/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る今やカレーといえば福神漬ぐらいのレベルでミステリといえば密室物ぐらいに切っても切れない関係性にある。本書は『オペラ座の怪人』などで知られるガストン・ルルーによって1908年に刊行され、最初期の密室作品群のうち「実は抜け穴がありましたー」などというがっかりな結末でない「完全な密室状態」であることを作品の中心に置いた、時代を代表する作品である(完全な密室状態を書いた最初の作品とは解説にも書いてないからこれぐらいが妥当な表現だろう)。 さまざまな批判はあったものの、今日まで『黄色い部屋の秘密』が個展中の古典として読み継がれてきた最大の理由は、完全な密室にこだわった、という点にあるのだろう。