日本脳炎の流行の可能性が今年、近年になく高まっている。流行条件の一つとされる気温の高い日が続き、ウイルスの感染源となるブタでの流行が拡大していることに加え、平成17年から予防接種の義務化が中止され、免疫を持たない幼児が急増しているためだ。専門家は、早い段階でのワクチン接種を呼びかけている。 国立感染症研究所の調査では、7月25日までにブタから日本脳炎の感染を示す抗体検出が報告されたのは富山、三重、高知、長崎、鹿児島、沖縄の6県。報告県数は昨年と比べ1県の増加だが、検査対象の平均抗体保有率が約20%から約50%に増え、例年を大きく上回る広がりを見せている。 専門家からは夏に気温が高い日が続くことと、感染ブタ増加の相関関係が指摘されている。感染研の高崎智彦ウイルス第一部第2室長は「今年は梅雨明けが早かった地域が多く、暑い日が続いている。すでに感染した蚊が飛び回っている可能性がある」と警告する。