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ブックマーク / brevis.exblog.jp (134)

  • マネジメントを専業化する分岐点のスケール | タイム・コンサルタントの日誌から

    スケジューリング学会は人数的にはこぢんまりした規模だが、親密な雰囲気のある学会である。元々は'90年代頃から機械学会やOR学会、経営工学会、計測自動制御学会など複数の学会の間で、共通領域として「スケジューリング」の重要性が浮かび上がり、共同でシンポジウムを開催したことがきっかけとなって生まれた学会である。わたしも10年ほど前、『革新的生産スケジューリング入門』を上梓した頃から参加しはじめたが、今年から「プロジェクト&プログラム・アナリシス研究部会」を立ち上げ、主査となった関係もあって、いろいろお手伝いする機会が多くなっている。 その学会の年1回の大会(上記の経緯から「スケジューリング・シンポジウム」という名称をつづけている)は、この3連休に大阪工業大学で開催された。今回は研究部会のイベントとして、パネル・ディスカッションを企画し、学会長である静岡大学の八巻直一教授と、以前からの知人である日

    マネジメントを専業化する分岐点のスケール | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 「在庫管理」には二種類ある | タイム・コンサルタントの日誌から

    拙著「革新的生産スケジューリング入門」の冒頭にも書いたとおり、私はあまり「管理」という言葉を使わない。管理という日語は便利だが、非常に多義的であり、使い方に注意しないとみえない誤解を生むことがある。 その一つの典型が「在庫管理」ではないだろうか。在庫管理をめぐって社内外の技術者と議論すると、どうも誤解や混乱が生じることが多い。そのうちに私はふと、在庫管理という用語が、じつは二種類の異なる意味で使われていることに気がついた。それは「在庫品」のコントロールと、「在庫量」のマネジメントである。 いったいその二つのどこが違うのだ、とお思いだろうか? 在庫品を管理する事とは、同時にその数量を管理することでもある、はずではないか。 ところが、必ずしもそうではないのだ。製造業の中には、製品や資材の物的管理はきちんとしているが、製品在庫量や資材の在庫レベルについては明確な基準がなく、なりゆきまかせに近い

    「在庫管理」には二種類ある | タイム・コンサルタントの日誌から
    rgfx
    rgfx 2011/07/08
  • リスクにつけるクスリ | タイム・コンサルタントの日誌から

    暮色の深まるヒューストンのショッピング・センター。夕を取ろうと立ち寄った、その駐車場で、わたしは反対車線から来る車に気づかずに左折し、接触事故を起こしてしまった。1997年の秋のことだ。わたしのレンタカーと相手の車の後部ドアが破損したが、幸い相手は怪我もなく無事だったし、その証拠に、すぐさま車を降りてわたしに罵りかかってきた。原因は明らかに、わたしの前方不注意だ。事故検証に来た警官も、わたしにそういった(念のために書くが、実話である)。 ところで、あなたはレンタカー契約書の裏面に書き込まれた、虫眼鏡サイズの細かい文字の文章を必死に読んだ経験があるだろうか? その夜のわたしはそうだった。レンタカー会社に事故を報告すると、彼らは、わたしの契約には賠償責任保険はついていなかった、と説明したのだ。“Full coverage”といって借りたじゃないか! と抗議しても、申し訳ないが契約書を読め、と

    リスクにつけるクスリ | タイム・コンサルタントの日誌から
    rgfx
    rgfx 2011/04/14
    たしかに。ポジションを明確にできる事象というか、トレンドが現れることを好むような。
  • 安全第一とはどういう意味か | タイム・コンサルタントの日誌から

    ある時、友人がやってきて「車を2,3日貸してくれないか」という。小規模な引越をしたいので車が入り用なのだという。レンタカー代ほどではないが借り賃も払うから、といって謝礼を菓子折と一緒に置いていった。 さて、数日たって友人が返しに来た車を見て驚いた。フェンダーから左のボディにかけてへこみが入り、サイドミラーも折れている。どうして、と聞いたら「左折時に不注意で障害物に引っかけてしまって」という。そして、「すまんすまん。でも、車両保険には入っているんだろ? たいしたことはないから、すぐ直るよ。事故は一定の確率で起きるもんなんだ。」・・そんな風に友人が言ったら、あなたなら、何と答えるだろう? 「いや、車なんか大丈夫。それより君に怪我がなければ、何よりですよ。」こう答えられるほど、寛大な度量はわたしには、無い。たぶん頭に来て、「馬鹿野郎! 人の車を事故っておいて、その言いぐさは何だ。確かに保険にゃ入

    安全第一とはどういう意味か | タイム・コンサルタントの日誌から
  • R先生との対話(つづき) - トラブルの根本原因をつかむ | タイム・コンサルタントの日誌から

    トラブル事例からのLessons & Learnsを蓄積しようとしても、技術系ナレッジは多く集まるがマネジメント系の知見が出てきにくいのはなぜか--私の質問に対して、R先生は話を続ける。 「トラブル事象が起きた。そこから何かの教訓を学ぼうとする。これ自体は健全なことだ。誰でも、どんな組織でも失敗は経験する。組織に知性があるとすれば、それは自分の経験から学ぼうとする態度だからな。ところが、君はここで勘違いをしている。たとえば、何か例を挙げて説明しようか。最近のよく知られた問題事象を挙げてみたまえ。」 --そうですね、たとえばメキシコ湾で発生した油田の事故はどうでしょう。日ではあまり報道されていないようですが、深海から原油を掘り出す海上基地(リグ)が爆発して沈没、原油が流出している事故です。4月20日に事故が起きて以来、2週間ですでに100万リッター近い原油が海底から漏出したと言われています

    R先生との対話(つづき) - トラブルの根本原因をつかむ | タイム・コンサルタントの日誌から
    rgfx
    rgfx 2010/05/12
    "根本原因というのは、事象の合理的な主原因であり、かつ、当事者にとってマネジメント可能なものを指すのだ。"
  • わたしが新入社員の時に学んだこと | タイム・コンサルタントの日誌から

    紅海を見下ろすホテルのレストランで、私たちは事していた。相手はサウジアラビア有数の財閥企業のBusiness Development担当ディレクターだ。いわゆるアラブ風の白い民族衣装ではなく、ふつうの背広にネクタイの服装をしている。年齢は、たぶん私と同年代か、少し若いかもしれない。しかし財閥トップの信任の厚い彼は、もうすぐ役員のポストに手が届くだろう。 戒律厳しいサウジの卓では、けっして酒は供されない。それでも、一緒に事をするというのは、知り合ったばかりの人間同士がうちとけるには最良の手段の一つだ。デザートをべ、後のお茶やコーヒーを飲む頃には、出自を含めていろいろなことを話し合うようになっていた。 レバノン出身の彼は、きわめてきれいで立派な英語を話す。イギリスの大学を出て、英国企業に就職し、さらにMBAを取得して別の会社のポストを得た。結局、11年間イギリスに住んだという。それか

    わたしが新入社員の時に学んだこと | タイム・コンサルタントの日誌から
    rgfx
    rgfx 2010/05/01
    品管の目。
  • 読者諸賢! これがマネージャーの仕事だ | タイム・コンサルタントの日誌から

    1月。誰もがおめでたい正月気分の残る中、マネージャーは多忙な仕事を始める。会社を出て、新年の得意先回りに出かけるのだ。年もよろしくお願いします。昨年はお世話になり、とくに某の件ではいろいろご迷惑もおかけしましたが、今年は気を引き締めて進めますので、是非またよろしくお願いいたします。営業部員も同行するが、品質トラブルで嫌みを言われるのは技術屋の方だ。いずれにせよこの不況の中、一社でも顧客を逃したら今期の目標達成はあり得ない。もっとも訪問先の2人に1人は、業界の新年会に出かけていて不在だが。それでも名刺を置いてくるのが大事な仕事だ。 2月。昨年から続いていた仕事が製作段階に入って火を吹いた。基設計にミスがあったのだ。誰が設計書をチェックしたんだ! と叫びたい声をぐっと飲み込む。後ろ向きのことを言っても仕方がない。部下の責任はいずれ自分の責任だ。とにかく人を追加する算段を考えなければならない

    読者諸賢! これがマネージャーの仕事だ | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 工場計画論(2) グローバル展開のゆくえ | タイム・コンサルタントの日誌から

    電車にゆられながら吊り広告を見ていると、宣伝というのはつくづく一般消費者の欲望を刺激することで成り立っているものだな、と感じる。あれは素敵だ、これは面白そう、こんな心配はありませんか? こんな夢はどうでしょう--そういう風に、広告はできている。だから、その気になって広告をよく観察すると、“普通の人々”が何に対して欲望を感じているのかが、逆に分かってくる。 欧米などに比べると、日の電車は際だって広告の量が多い。最近は電車の外側まで広告で塗りたくっている。まさに『欲望という名前の電車』が街中を走っているわけだ。その車内広告の中でも、くりかえしくりかえし登場するのが、英会話教室のPRだろう。それだけ、「英会話ができるようになったらカッコいい」と望んでいる人が多いわけだ。まあ、パリの郊外電車の中でも英会話教室の広告を見かけたことがあるから、あそこの国の人だって内心は“英語がしゃべれたらカッコいい

    工場計画論(2) グローバル展開のゆくえ | タイム・コンサルタントの日誌から
  • TBM(Tool Box Meeting)のすすめ | タイム・コンサルタントの日誌から

    コミュニケーションの大切さは、ちかごろ強調されることが多い。それだけ、人と人とのコミュニケーションが難しくなったということだろう。「マネジメントの仕事とは、コミュニケーションにつきる」という風に言う人もいる。これはいささか単純化されすぎた表現だが、少なくとも“人を動かして目的を達成する”のがマネジメントの根幹である以上、この言い方にもたしかに一理はある。 とはいえ、「きちんとしろ」「大切にしろ」と言われても、具体的にどうしたらいいのか、なかなか分からないのが、コミュニケーションという代物である。出来の良いコミュニケーションとは、受け取った側が、理解できて、それに応じて行動をとれるようなもののはずである。だとしたら、そもそも「コミュニケーションを大事にしろ」という言い方自体、コミュニケーションとしてはあまり上出来ではない、ということになってしまう。 会社の課題やタスクを、大きな課題から小さな

    TBM(Tool Box Meeting)のすすめ | タイム・コンサルタントの日誌から
  • ベーシックとしての時間分析 | タイム・コンサルタントの日誌から

    私たちは時間の上に住んでいる。誰にも平等に、1日24時間が与えられ、週に7日、年に12ヶ月が与えられる。資産や所在地や名望など、他のありとあらゆるビジネス上の前提条件とは違って、そこにはハンデも優劣もない。 したがって、私たちが何ほどかを競争で得たければ、まず時間の使い方で競うしかない。ところが、これほど無頓着になされているものも珍しい。経営資源を「人・モノ・金」と三つにくくるのは、誰がはじめたか知らないが広く浸透していて、事実、人やモノや金の使い方には、皆ずいぶん気をつかっている。それに比べて、時間の使い方に対する注意は格段に落ちる。たぶんそれは、時間が目に見えないからだ。 経営工学(あるいは、その基盤であるインダストリアル・エンジニアリング=IE)が、テイラーの『科学的管理法』の論文から始まったことは周知の通りだ。今からちょうど100年前、工場の主任技師だった彼は、労働者による重い荷物

    ベーシックとしての時間分析 | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 特別な我が社 | タイム・コンサルタントの日誌から

    生産システムづくりのようなコンサルタントの仕事をしていると、つくづく面白いと思うことがある。仕事柄、さまざまな企業を訪問して話を聞くわけだが、訪れる会社はどこも、「自分のところの業務はひどく特殊だ、ウチは特別な会社だ」とおっしゃるのである。どの会社もどの会社も、“これこれの理由でウチはよその会社とちがう” と主張される。 いわく、「ウチの業種の製品は鮮度管理が非常にきびしいから」「ウチの製品はお客様の生命に直接かかわるものだから供給の責任があって」「ウチの業種は可燃物を大量に取り扱うので消防法のこうるさい設備検査が必要で」「ウチの業界はものすごい多品種少量で、かつ製品のライフサイクルがめちゃくちゃ短いから」「徹底したカンバン方式で工場を回しているから」「完全受注生産でリードタイムが長いから」「小さく高価で壊れやすいから」「場所ふさぎなのにひどく安価だから」etc... “というわけで、外部

    特別な我が社 | タイム・コンサルタントの日誌から
    rgfx
    rgfx 2009/10/09
    "訪れる会社はどこも、「自分のところの業務はひどく特殊だ、ウチは特別な会社だ」とおっしゃる/丸山真男『日本の思想』:日本では「理論信仰」と「実感信仰」が表うらの関係で支え合っている"
  • 契約なんかこわくない(3) 契約の論理の根底にあるもの | タイム・コンサルタントの日誌から

    契約はプロジェクト・マネージャーが設計するものであり、その設計においては三つの重要な原則がある、と前回説明した。それは、「当事者は対等であること」、「自由度が責任範囲を決めること」、「強制力があること」の三原則だ。 「当事者は対等であること」とは、発注者と受注者は来対等な存在であって、権利義務関係は一方的なものにならないよう、主張することができるということだ。第二原則の「自由度が責任範囲を決めること」とは、当事者に許された自由度の範囲を超えて、無限に責任をとらされないようにすべきだ、という原則である。無限責任というものは、近代法の世界では存在すべきではない、と考える。いずれも、弱い立場に立たされがちな受注者を勇気づける原則である。 では、第三の「強制力があること」は具体的に何を意味しているのか? これは、「契約は約束なんだから、自分の言ったことは責任を持って守りましょう」という、ある意味

    契約なんかこわくない(3) 契約の論理の根底にあるもの | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 「良いデザイン」の工数は見積ることができるか | タイム・コンサルタントの日誌から

    目の前に広げられたのは、30数枚に及ぶスケッチの紙だった。我々の顧客が打合せを終えて帰った後で、そのグラフィック・デザイナーの人が見せてくれたのだ。CI(コーポレート・アイデンティティ)の世界では、かなり名前を知られた人である。彼が顧客に見せたのは、3つのデザイン案だけだったはずだ。ダイナミックでポップなもの、端正で清潔なもの、柔らかで明るいものの3つで、ずいぶん違う印象の候補案を用意してくれていたのに感心したばかりだった。でも、その裏側には10倍以上の半製品があったのだ。 その人は、候補の3案に至るまでの案出しとデザイン展開の結果を何枚もめくって見せながら、どのような発想から出発して、どうバリエーションをつくり、それからどう最終成果物に結びつけたのか、素人の私にたいして簡単に説明してくれた。私は完璧に驚いてしまった。ひらめきから生まれるものとばかり思っていたグラフィック・デザインが、じつ

    「良いデザイン」の工数は見積ることができるか | タイム・コンサルタントの日誌から
    rgfx
    rgfx 2009/07/15
    時間を限られた中から潤沢に費やすために、見積もりから手を抜いてはいけないという。「ある意味で「特別な我が社」という思い込みに通じている。非定型と思われている仕事の大半は、じつはプロジェクトなのだ。」
  • サプライチェーン・マネジメントの実現をはばむもの | タイム・コンサルタントの日誌から

    久しぶりに、大先輩のR先生のもとを訪れた。もう随分年配だが、私にとってマネジメント問題の師匠である。かつて企業経営にタッチされた経験から、私の思いもよらぬ広い視点でものを見ておられる。 --先生、お久しぶりです。最近ふと気がついたのですが、私が研究会の仲間とともに、『SCM研究会』の名義で「サプライ・チェーン・マネジメントがわかる」という書物を出したのが、1998年でした。それからちょうど10年間たったわけです。しかしこの間、日のサプライチェーン・マネジメントはどれだけ理想に向けて進歩したでしょうか。はなはだ心許ない現状だと思うのですが。 「佐藤君が10年前にそのを書いていたときは、どんな理想を心に描いていたんだね?」 --そうですね。「わかる」の中で、私は供給計画の章を書いたのですが、当時はちょうどAPS(先進的生産スケジューラ)が現れはじめたころでした。また、ECRのような米国

    サプライチェーン・マネジメントの実現をはばむもの | タイム・コンサルタントの日誌から
    rgfx
    rgfx 2008/05/05
    「高付加価値と生産性を確保・イノベーションの能力」/「コストダウン病にかかると消耗な価格競争という土俵へ乗ってしまう」「株主という人種に突き動かされる」「事業部間のシナジーなどお構いなしだ。」