温度実験で使われた噴霧乾燥器=実験に協力したサプリメント製造会社で2024年1月10日午後3時45分、遠藤浩二撮影 化学機械製造会社「大川原化工機(おおかわらかこうき)」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された冤罪(えんざい)事件で、立件の可否を判断する上でカギとなった温度実験を巡り、警視庁公安部が自らに不利な証拠を除外していた疑惑が浮上した。事件では、東京地裁が「捜査不足」を理由に東京都と国に賠償を命じているが、大川原側は「事件の捏造(ねつぞう)があった」と訴えている。 「110度、2時間」が立件条件 「警視庁の公安です」。関東地方のサプリメント製造会社に温度実験への協力依頼があったのは2019年4月。サプリ製造会社は製品開発のために10年ほど前から大川原化工機の噴霧乾燥器を利用していた。約2週間後、捜査員5人が訪れ、噴霧乾燥器を貸し出す形でその場で実験が行われた。 毎日新聞はこの実験概要