正成の知略・智謀を具体化したゲリラ戦術・陽動作戦について、以下紹介する。 1、自軍を二手に分けて、東西の山陰より菊水・家紋の旗二流吹き流させて押し寄せた。敵はこれを敵か見方かと怪しむ間に、どっと時の声を上げて攻め入った事例。 2、敵が兵糧を持たせて夜中に城内に入るとの情報を得て、途中に待ち伏せして兵糧を奪い取り、その米俵に武具を入れ替えて馬に負わせて城に向かわせた。前方に敵軍、その後方より楠木勢が追いかける形を取った。この様子を城内より見ていた敵兵は急いで城門を開けて見方を迎え入れた。 跡を追って、城内に入った楠木勢は俵より武具を取り出して身を固め、時の声を上げた。追跡した応援軍も城中に入り、息も継がせず相前後して、攻め込む戦法。 3、楠木軍は藁人形を作って城の麓に立てかけ、その後に強兵を立て、夜明けの霞の下より、どっと時の声を上げた。敵は籠城に耐えかねた城兵が決死の攻撃に出たものと思い込