同賞を選考するスウェーデン・アカデミーのノーベル委員会のペール・ベストベリー委員長(78)が21日、日本人作家への評価の一端を明らかにしたことで、改めて安部作品の国際的評価の高さが裏付けられた格好だ。 前衛的な安部作品は、カフカに匹敵する文学として旧ソ連、東欧をはじめ海外で人気が高く、1968年には「砂の女」がフランスで最優秀外国文学賞を受賞。代表作はスウェーデン語でも出版され、91年に地元メディアが安部を大江健三郎さんと並び、「ノーベル賞候補」と報じたこともあった。また、安部死去の翌94年に日本人2人目のノーベル文学賞を受けた大江さんは、受賞決定後、「日本の文学の水準は高い」として、安部、大岡昇平、井伏鱒二の名を挙げ、「だれがノーベル賞をもらってもよかった」と述べていた。 安部と親交が深かった、日本文学研究者のドナルド・キーンさんは「北欧の研究者から安部さんが、有力という話を聞いていた。