貨幣の哲学 ゲオルク・ジンメル 白水社 1999 Georg Simmel Philosophie Des Geldes 1900 [訳]居安正 装幀:代田奨 貨幣についての最初で、かつ最も巨大な著作。 それがジンメルの『貨幣の哲学』だ。 構成は、Ⅰ分析篇が、1価値と貨幣・2貨幣の実体価値・ 3目的系列における貨幣で、 Ⅱ総合篇に、4個人的な自由・5個人的な価値の貨幣等価物・ そして、6生活の様式というふうに結ばれていく。 なぜジンメルは貨幣を社会学したのだろうか。 なぜ、その後のすべての貨幣論は ジンメルの「生の哲学」に始まることになったのか。 社会学はむろん社会を相手にする学問だが、19世紀末から20世紀初頭の確立期にすでに相手にする仕方によって、二つの立場に分かれていた。わかりやすくいうと、ひとつは「方法論的個人主義」で、個人を起点に社会を考える。もうひとつは「方法論的集団主義」と呼