2009年7月23日(木)、昨年度より継続の短期教育プログラム「歴史哲学の起源」の今年度第1回公開共同研究として、森田團氏(UTCP特任研究員、以下敬称略)の発表「カタルシスと崇高――ベンヤミンにおける詩学と歴史哲学」が行われた。 発表の冒頭では、プログラム主催者である森田により、目下の問題意識に基いて今後の研究計画の概要が述べられた。 今年度の「歴史哲学の起源」研究において柱となるのは、テーマ1:歴史哲学とギリシア悲劇解釈の関係の究明と、テーマ2.歴史哲学と予型論(ないしはタイプ論)との関係の究明の二つである。 ペーター・ソンディが「悲劇に関する思索はドイツ固有のものである」と概括するように、観念論以降のドイツ哲学は主要な対象としてギリシア悲劇を扱ってきた。悲劇解釈の流れは、ヘーゲルをはじめ、シェリング、シュレーゲル、シェリングとシュレーゲルの弟子であったラソー、『存在と時間』第77節に