高橋一行 (3)より続く アガンベンは、『スタンツェ』(1977)において、中世の修道院における鬱を論じている(注1)。それは「白昼のダイモン」と呼ばれ、怠惰、陰鬱、生の倦怠、無為とも呼ばれる。「僧院の中で行われるあらゆることに対して、無気力になる。安らかに過ごすことも、読書に参加することもできなくなるのである。こうして哀れにもこの修道士は、修道院の生活から何の楽しみも得られないなどと不平を漏らすようになる。そこに留まる限り、彼の信仰は何の実りももたらさないだろうと嘆き、苦悶するのである。うめくような声で何か修行に努めようと宣言はするが、それも無駄で、放心したかのようにいつも同じ場所にじっとして、悲嘆にくれているのである」(p.26)。 怠惰という言葉を使っているが、明らかに、これは鬱の現象だとアガンベンは考えている。その特徴は、4つある。それは、「精神的な生活の負担や困難さを前に狼狽して