石川九楊『「書く」ということ』: Letter from the wind 3
ボケるのを予防する上で、「単純計算」や「音読」に効果がある、という番組をみた。 脳の前頭前野を活発にするには、複雑な計算よりも「一桁の足し算」のような単純な計算のほうが効果的であることが分かってきたのだという。 そうした例の中に、「メール」よりも「手紙」というのもあった。 キーボードで打つよりも、手で筆記具を使って書くほうがいいのだそうだ。 この話を聞いて、『「書く」ということ』というこの本のなかで、著者が主張していることとピッタリ一致していることを思い出した。 石川はこう書いている。 《手紙と電子便(Eメール)の本質的な違いは畢竟、書くこと(筆蝕すること)と、キイに触れること(打つ)との違いに集約される。円錐状に尖った筆記具の尖端が、世界と見做される白紙に接する時、その筆記具の尖端と世界との接触と摩擦と離脱の劇(ドラマ)は、白紙＝世界に向かって書く、つまり宗教なくして神に向かっ
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「縦書き」と「横書き」: Letter from the wind 3