昨年、大好評だった大回顧展「マティス展」(東京都美術館)に続き、国立新美術館で5月27日まで開催中の「マティス 自由なフォルム」。ポップでおしゃれな作風の画家というイメージが強いマティスですが、その影にはあまり知られていない、意外な変遷がありました。 文=田中久美子 取材協力=春燈社(小西眞由美) ピカソとともに20世紀美術を代表する画家 20世紀の初め、マティスは「フォーヴィスム(野獣派)」という新しい芸術動向を創出し、「キュビスム」を創出したピカソとともに美術史に大きな革新を起こしました。その功績は、後世の芸術家たちに大きな影響を与え続けています。 フォーヴィスムの特徴として、人物や風景を激しく鮮やかな色と荒々しい筆触で表現していることがあげられます。目に見えるままの自然の固有色ではない色彩を使って表現したことは、現代美術の出発点といえるでしょう。 マティスは1869年12月31日、フ