この映画、私は公開2日目に渋谷で、そしてこの原稿を執筆すべく再度お台場で鑑賞した。思ったのはまず政治的メッセージ以前に、作品として非常に優秀だということだ。 松坂桃李は終始抑制的な演技で「イケメン俳優」の枠にとどまらない新しい側面を見せているし、田中哲司の鬼気迫るオーラも圧倒的(往年の成田三樹夫の影を確かめた)。北村有起哉と岡山天音の「東都新聞社会部」の面々も、淡々とした映像の中に人間味を振りまいているし、西田尚美は今や、不幸な物語を背負った中年女性を演じさせたら日本一だ。 「日本映画にない」強烈な差別性のある映画 加えて、何といっても吉岡エリカ役のシム・ウンギョンがよかった。政治的なイメージが付くことを恐れた某有名女優らに断られたという報道もあったが、もしそれが事実としたら怪我の功名。「日本人の父と韓国人の母の間に生まれたアメリカ育ち」という特異な設定と、たどたどしい日本語が、「正義派の
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