日本映画で「世界から猫が消えなたら」(2016年)という作品があったが、映画「イエスタデイ」では、世界からあのビートルズが消える。物語の設定として秀逸なのはその先で、ビートルズの存在が消えた後に、1人だけ彼らの曲を知っている人間を、主人公として配したことだ。 無名のシンガーソングライターである主人公が、自分だけが知っているビートルズの曲(「イエスタデイ」)を友人たちの前で披露すると、「素晴らしい、それは何という新曲」と皆が驚く。本人は、やがてこの世界からビートルズが消えたことに気づくのだが、覚えていた曲を1つ1つ思い出して、自分の曲として歌い始める。 すると、この演奏を耳にしたエド・シーラン(本人出演)がやってきて、自分の前座として歌わないかと、自らのロシア公演へと誘う。現地の聴衆の前で、「バック・イン・ザ・U.S.S.R.」を歌う主人公。観客から圧倒的な喝采を浴びる彼に嫉妬したエドが、公