2010/10/217:0 ノーベル賞報道を通じてみえるもの 八代嘉美 ◇ノーベル賞の法則性◇ 10月11日の経済学賞の発表を最後に、今年もノーベル賞シーズンが終了した。ここ数年、ノーベル賞シーズンに入ると「山中教授受賞か」の文字が踊る。世界に先駆けて、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を創りだした京都大学・山中伸弥教授のことだ。山中教授の成功は、医学研究に新しい可能性をもたらしたわけであるから、受賞が期待されることは自然な流れであるとはいえる。 今回、山中教授は受賞を逃したが、鈴木章、根岸英一両教授が化学賞を受賞した。二人の先達には心からの賛辞を贈りたいし、慶事であることは間違いない。だが沸き立つ報道を眺めると、日本の科学研究がおかれている現状があらわになる。 2008年に物理学賞を受賞した益川敏英教授は事前に受賞を予測していたという。本人の著書によれば、ノーベル賞が「古いほうから評価されて