毎日、目の痛みに苦しむ もう20年以上、農薬散布の飛行機の音がリデス・ゴメスの日々の生活のリズムを作っている。コスタリカの、カリブ海に面したリモン州の都市マティーナ。明け方と夕方には、その上空に大量の飛行機が飛ぶ。バナナ農園に、粘着性のある農薬を噴霧するのである。 ゴメスの質素な木造住宅を囲む、どこまでも続く緑のバナナ農園は、グルーポ・アコーンの傘下、リモフルーツ社の所有物である。この会社は、コスタリカのバナナとパイナップル輸出産業の主力に数えられる。 ゴメスは3人の子供を育てるシングルマザーであり、コスタリカ国立大学の地域毒性物質研究所(IRET)の研究に協力した、451人の女性のひとりだ。バナナに用いられる殺虫剤への暴露に関するこの研究は、足かけ14年にもわたり、甲状腺や妊婦の胎児生育への影響を明らかにしてきた。