1980年代後半、日本の半導体は世界シェア1位だった。現在、そのシェアは10%程度まで落ち込み、最先端技術といわれる2ナノレベルの半導体を生産する技術もない。なぜ日本の半導体産業は凋落したのか。ここから挽回する方法はあるのか。経済産業省で半導体政策を取り仕切る野原諭・商務情報政策局長に聞いた――。 台湾有事が起きたら世界の産業はどうなるのか ――なぜ今、経産省は半導体に力を入れているのですか。 【野原】現在、半導体は国民生活上、必要不可欠なものになっています。 タブレットやスマートフォン、EVなどの先端技術を駆使した機器はもちろん、家電などほとんどの電子機器に使われています。半導体不足が起きると、途端に日本の経済活動全体に支障が生じます。 そこで半導体を国民生活、国民経済活動を支えるための不可欠な物資、つまり「戦略物資」と捉え、安定供給を図るという観点から日本政府、経済産業省として政策を考