糸井 田中さんはもともと、 自分が商売に向いているものだと思って 会社を始めたんですよね。 田中 そうですね。 ただ、商売が向いていると思って 会社を始めたというよりは、 「商売でしか身を立てられないんじゃないか」 という感覚があったからですね。 なんと言えばいいのでしょうか、 自分の中にどこか、負け犬意識があって。 糸井 負け犬意識ですか。若い時に? 田中 高校に入った時点ですね。 私は中学3年生の頃、 たくさん遊びたい時期だったんです。 友達と深夜まで遊ぶようになって‥‥。 糸井 ずいぶん遊んだんでしょうねえ。 田中 そんな中学3年生の当時、 私と同じぐらいの成績だった子が、 将来の目標を決めたんですよ。 「自分は理科の先生になるんだ。 そのためにはまず前橋高校へ、 そして国立大学に行きたい」 と言って、彼は本当に前橋高校に行くんです。 私とのギャップが、ものすごく大きかった。 糸井