ヒトデを食べると聞いて、一瞬、言葉を呑みこんだ。 な、なんだか硬そうだし、イボイボが体にたくさんあるし…形も色も…どう贔屓目にみても観賞用……。 「いえ、いえ。天草では食べるんです。料理として出す旅館だってありますよ」 ヒトデ食を教えてくれた人は微笑みながら言う。 ほんとかなあ。どうも眉唾っぽいなあ。でも、どんな味なんだろう……。首を捻りつつ、天草の上島(かみしま)へと向かった。 天草市栖本(すもと)──天草最高峰の倉岳(くらたけ)の麓、河内川が流れ、八代海(やつしろかい)に面した温暖な土地には、太陽の光をいっぱい浴びてポンカン、デコポンなどの柑橘類がすくすく育っている。 目指すは古江の浜。 下りてみると砂はほとんどない。石ころだらけで歩きにくい。 リーダー格の竹尾美年子(たけお・みねこ)さん(63歳)が小中学校時代の同級生二人を誘って、ヒトデ捕りにやってきている。 「大潮の干潮がいいんで