受講ボイコットまで受けていた夏目先生は、シェイクスピア講義で一躍人気者に。同時進行していた「文学とは何か?」という根本的な問いに取り組む「文学論」講義にも勢いがついてくる。だが、すべての文学を説明し尽くそうとする文学理論家夏目金之助の前に、やがて強力なライバルが出現するだろう。それは、すさまじい速筆で次々と話題作を生み出し、やがて夏目金之助を大学から立ち去らせてしまう小説家――もちろん夏目漱石である。二人がライバルであるとはどういうことだろうか。そして二人の理論と創作が演じるデッドヒートとは何のことだろうか。 今回は文学理論家夏目金之助と小説家夏目漱石の対決の伏線となる、シェイクスピア講義と「文学論」講義の交点に注目してみよう。 図1 漱石旧蔵書『マクベス』にはさまれていたメモのオモテ (東北大学附属図書館漱石文庫蔵) 図2 漱石旧蔵書『マクベス』にはさまれていたメモのウラ (東北大学附属
![服部徹也連載「第6回 金之助 対 漱石――理論と創作のデッドヒート(前編)」『夏目漱石はどんな授業をしたのか?』](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/21baace552bbc1ead7238deef9bc01d2dfc8abe6/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fclarus.shin-yo-sha.co.jp%2Fmedias%2F2lSMF%2Fimages%2Fogp%2Fpost_ogp_ID4382_20210212155642.jpg)