「コスト削減を卒業し、世界を相手にイノベーションを起こそう」。製造や流通、金融といった業種を問はず、日本企業がITを使ったイノベーション創出に取り組み始めた。だが「ITでイノベーションを」と聞いて、奮い立つ気持ちに少し気恥ずかしさが交じるのは筆者だけか。 イノベーション狂想曲は、「ディスラプター(破壊者)」と呼ばれる米国スタートアップの強打で幕を開けた。代表格と言われるのが、米ウーバー(Uber)や米エアビーアンドビー(AirBnB)だ。2010年に創業したウーバーは、スマホを使った配車サービスでタクシー業界をディスラプト(破壊)して見せた(写真1)。 エアビーアンドビーはネットを使った宿泊施設の仲介サービスで、ホテル業界を震撼させている。あるレポートによれば、この夏、世界で1700万近くの人々がエアビーアンドビーを利用したという。同社の創業は、2008年にさかのぼる。スタートアップの季節