こう語るのは、米IBM基礎研究所バイスプレジデントでこの分野の研究開発を牽引するダリオ・ジル氏だ。日本IBMが10月8日、同氏の来日を機に開いた記者説明会での発言である。 コグニティブコンピューティングとは、人間が話す自然言語を理解し、根拠をもとに仮説を立てて評価を行い、コンピュータ自身が自己学習を繰り返して知識を蓄えていくことができるテクノロジーを活用したコンピューティングの新しい概念である。IBMは今、その代表的なサービスである「Watson」の普及拡大に注力している。 Watsonの概要や展開については、8月3日掲載の本コラム「Watsonエコシステムに注力するIBMの深謀遠慮」を参照いただくとして、ここではコグニティブコンピューティングをめぐるジル氏の会見での発言から、IBMのこの分野における戦略を探ってみたい。 まず、コグニティブコンピューティングが求められる理由について、ジル氏