バッタ博士の上司「ババ所長」。モーリタニア国立サバクトビバッタ研究所のリーダーだ。所長はなぜ、極東の島国からやってきたバッタ博士を受け入れたのか。所長が覚悟と共に捨て去り、今、東洋から来たサムライに託そうとする熱い思いとは。 研究所を率いる男 サバクトビバッタによる農業被害(専門用語で蝗害と呼ぶ)は、西アフリカから中東・南アジアにかけて約60か国にもおよぶ。地球上の陸地面積の約20%が被害に遭う可能性がある。被害が大きい国々ではサバクトビバッタ専門の研究機関が政府によって設立され、バッタの問題は国家的課題として位置づけられている。 国家や国連機関が支援するものの、研究機関の運営は難しい。なぜなら、バッタの大発生は不定期に起こるため、継続的な資金集めが問題となるからだ。大発生中ならいざ知らず、バッタがほとんどいないのに誰が資金援助してくれようか。大発生してからでないと政府は動かないが、それで