仮性包茎は恥ずかしいというのは美容整形外科医が患者獲得のために広げたもの。あるいは、仮性包茎という概念もまた美容整形外科医が患者獲得のために広げたもの。本書はこのような巷に広まる仮説を検証するから始まる。結論を言えばこの二つの仮説はともに誤りである。美容整形外科医「だけ」の力で包茎=恥が広まったわけではないことが、古くは江戸時代までさかのぼる史料によって明らかにされる。仮性包茎という概念もまた、戦前にはすでに登場していた。 といっても、第3章(1970年代から90年代という区分)で語られる、美容整形外科医が包茎=恥の一大キャンペーンを展開し、男性週刊誌にカッコつきの「女性」の意見と自分の病院の連絡先を乗せた記事という体裁の広告が出てからの包茎=恥言説の流布の勢いはすさまじい。いわゆる仮性であれば手術は不要であるという医学的な事実が共有され、手術によるトラブルの事例が報告され、ようやく美容整