快い。縁側で足を伸ばし、新鮮な外気に触れながら、横にうずくまる猫のふんわりとした毛を撫でる。そうこうしているうちに、見慣れぬ「あっち側」の訪問者がプレゼントを携えてやってくる。となりの小さな魔女が目を輝かせ、突然の非日常を感受する。そんな様子が快い。『ふらいんぐうぃっち』はいつまでも眺めていたくなるアニメだった。 既視感はある。あずまきよひこの漫画『よつばと!』、スタジオジブリの劇場長編アニメーション『となりのトトロ』『魔女の宅急便』『天空の城ラピュタ』ら、「流通量の多い既視感」がいくつかの要素を埋めているのはたしかだろう。しかしそれは本作の彩りのひとつにすぎない。魔女見習いの千夏が空想だと思っていた事象や人に会い、半歩だけ非日常に歩み寄る。深入りはしない。すぐ家に戻り、母親に今日体験した不思議な出来事を話すのだ。その体験談がじつは、視聴者にも馴染み深い意匠であるという関係になっている。