宗教・思想の禁忌・戒律・価値観、または医療上の主張その他の理由により、輸血を拒否する人は少なからず存在する。彼らの主張は、生命の危機に陥る可能性がある場合も含め、いついかなる状況でも輸血を拒否するとする絶対的輸血拒否(絶対的無輸血)と、生命に危機がある場合など、身体に重大な影響を与える場合は輸血を容認する相対的輸血拒否(相対的無輸血)の2つに分けられる。 エホバの証人は、聖書に「血を避けなさい」とする言葉が何度も出てくることを理由として、絶対的輸血拒否の立場をとっている。そして、エホバの証人の信者であった女性Aは、この教義に従い生命の危機があるときも含めていかなる場合においても輸血を拒否するという固い信念を持っていた。 1992年(平成4年)7月6日、Aは立川病院において、悪性の肝臓血管腫であるとの診断を受けた。Aは輸血をせずに手術をすることを望んだものの、同病院の医師から不可能であるとし