アート的感性と生物学的能力 diatxt. 連載: アート・カウンターパンチ #6 diatxt. number 14 (京都デザインセンター, 2005/1) pp. 142-145 山形浩生 この連載では何度かスティーブン・ピンカーを参照してあれこれモノを言っている。さてそのスティーブン・ピンカーが、最近邦訳の出た傑作『人間の本性を考える』でアートとかの役割についてあれこれ言っている。これまでの著書でも、ちょろちょろと触れてはいたんだけれど、今回のやつではまるまる一章を割いてかなり詳細な議論をしているのだ。ちょいとおもしろいので、今回はその話をしておこう。ぼくの考えともかなりちがうこともあるし。 ピンカーはもちろん発達心理学の人だし、遺伝と進化を通じて人間のいろんな特性が決まってきた、という話をしつこくしている。『人間の本性を考える』の主要な主張は、人間というのがどんなふうにでも条