民事裁判で用いられる資料には、時々、びっくりさせられるような古い資料が用いられることがあるが、これもその良い例である。 琉球王朝期の海上境界有効 地裁、那覇市主張認める 事案は、那覇空港の第二滑走路が建設される海上部分について、那覇市に帰属する海面なのか隣の豊見城市に帰属する界面なのかが争われたというもので、何のためにそれを争うかというと滑走路の面積に応じて支給される国有資産等所在市町村交付金の額が異なってくるからだ。 この工事については、内閣府沖縄総合事務局にある那覇空港ブロジェクトというページがあり、左の様な現場写真が掲載されている。 そこで那覇市側が持ちだしたのが琉球王朝時代に定められた「海方切(うみほうぎり)」と呼ばれる海上線である。 1797年ごろに作成された「琉球国惣絵図(そうえず)」で示された海方切は、明治末期に小禄間切に付与された専用漁業権の根拠ともなっており、区分線として
那覇空港の南にある海域の境界線を確認するため、那覇市が豊見城市を相手に起こした訴訟の判決で、28日、那覇地裁の鈴木博裁判長は、那覇市側の主張する琉球王朝時代に定められた「海方切(うみほうぎり)」と呼ばれる海上線を根拠とする境界線を認めた。両市の間で長年、議論が交わされてきた境界線の確定だが、決め手は琉球王朝時代の地図だった。 訴訟では、那覇市側が1797年ごろに作成された「琉球国惣絵図(そうえず)」で示された海方切は、明治末期に小禄間切に付与された専用漁業権の根拠ともなっており、区分線として有効だと主張。これに対し豊見城市側は、明治政府に移行する時期にはこの海域の海方切は消滅していたなどとして、1903年に土地整理事業によって作成された県土地整理地図に記された境界線が有効だと主張していた。 判決では那覇市の主張する海方切について「1903年の時点でも海面の占有利用の範囲を定める慣習として存
イギリス史10講 (岩波新書) 作者: 近藤和彦出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/12/21メディア: 新書この商品を含むブログ (8件) を見る 10章にわけて、イギリスの歴史を紹介する通史。あとがきにも書かれているが、この紙幅で、一国の通史を書くとなれば、大胆なアレンジが必要になる。本書では、言語やアイデンティティ、政治社会にフォーカスして、現在の国制に至る流れを描いている。イングランドやスコットランド、アイルランドといったブリテン諸島の諸王国の形成。統治の正当性の根拠として血統・議会の合意・国教会の意向という三要素が近世以降の国家の安定に際して重要であり、場合によっては血統はそれほど重視されなかったという指摘も興味深い。この三要素が合致したときは政治的に安定し、これが損なわれると革命が起きる。 一方で、政治的に弱い階層に対する残酷さというのも、特筆すべきだと思うが。たと
【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で27日、大型クレーン船など作業船計7隻が大浦湾に到着した。沖縄防衛局は大型クレーン船で浮具(フロート)や浮具を固定するためのトンブロック(数十トン規模のコンクリートブロック)を設置する作業を開始。 これまでで最大規模の海上作業となる。翁長雄志知事は26日に立ち上げた第三者委員会で埋め立て承認の取り消し撤回を視野にした検証期間中、海上作業を見合わせるよう求めていた。政府は要請を聞き入れず作業を強行した格好で、翁長知事は「できる限りの対処をしたい」と反発を強めている。 防衛局は環境影響評価書で「日の出1時間程度後から日没1時間程度前の間に作業を行うよう努める」としてジュゴンなど環境への影響を考慮することを明記した。だが、27日の作業が始まったのは日の出前の午前7時すぎだった。 さらにトンブロックについても県が新たな岩礁破
日本における近代保守主義は、思想伝統としても政治的伝統としても、安定した実体を形成しなかった。〈中略〉近代日本の国家理性の中には、保守の原理を容れるようなゆとりがなかった。それはもっぱら権力原理にもとづく反動の機能をいとなむ場合にのみ、公認の役割を認められるという形になった。保守はある意味での権力原理に対する反対物であり、権力の発動形態としての反動とは本来結びつかない。しかし近代日本が明治開国にさいして選びとったものは強力国家という権力原理であり、保守と反動の区別は社会的実体と結びついて理解されるような条件がなかった。(橋川文三「保守主義と転向」『共同研究 転向 5』東洋文庫、平凡社、2013年、413頁 *初版は1959年) 2000年代に入ってから急速に日本で意味が軽くなった言葉のひとつに「保守」というものがある。 政治学で保守主義といえば、政治制度が制度疲労して変更せねばならない場合
原子力発電所などで事故が起きた場合の被害者への賠償制度について原子力委員会は専門家による会議を設置して見直しの議論を進めることになりました。 電力会社が無制限の賠償を行うとしている現在の制度を見直すかどうかや国の責任分担などが論点になります。 現在の原子力損害賠償法は、原発事故の被害について、電力会社に過失がなくても、損害額に応じて無制限の賠償を行うとしており、福島第一原発の事故を受けて電力会社の負担が重すぎるとして見直しを求める意見がある一方、国の責任を重くすれば、国民の負担が増えるとして反対する意見があります。 政府は今後、電力の全面自由化によって電力会社の経営環境が厳しくなることなども踏まえ、制度の見直しを関係する省庁の間で検討してきましたが専門的な議論が必要だとして27日原子力委員会に具体的な検討を要請しました。 委員会では電力会社の責任の範囲に制限を設けるかや原子力政策を進める国
国の原子力委員会は二十七日、原発事故時の被害者への賠償について定めた「原子力損害賠償法(原賠法)」の改正に向け、有識者による作業部会をつくり検討を始めることを決めた。政府は事故時の電力会社の責任範囲や賠償額に上限を設け、電力会社が将来にわたり原発事業を継続できる環境を整備する考え。
福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」で機器の点検漏れなどが相次いだ問題で、日本原子力研究開発機構が事実上の運転禁止の解除に向けて先月、国に提出した報告書に集計ミスがあり、点検が不十分な機器の総数が実際より400点以上少なくなっていたことが分かりました。 「もんじゅ」では大量の機器の点検漏れなどの問題が相次いで見つかり、おととし5月、国の原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けています。 原子力機構では先月、規制委員会に一連の問題の再発防止策を整備したとする報告書を提出しましたが、点検作業の計画を立てようと報告書の内容を確認したところ、機器の点検状況をまとめた集計に誤りがあることが分かったということです。 それによりますと、報告書では点検が不十分な機器の数を、およそ6500点としていましたが、今月21日時点で点検が不十分な機器の数は6900点余りに上っているということです。 原子力
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く