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ブックマーク / brevis.exblog.jp (30)

  • 海外プロジェクトの質的変化と、成功体験の罠 : タイム・コンサルタントの日誌から

    わたしが3年前に技術評論社から上梓した『世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書』は、製造業で働く若手エンジニアを主人公にした、ストーリー仕立てのである。基的な内容は、東大の大学院で教えている「プロジェクトマネジメント特論」の講義資料をベースにしているのだが、淡々とした記述のテキストなど、誰も興味をひかれないだろう。それにわたしは、対話形式の文章を書く方が、なぜか筆が進みやすい。 そこでこのでは、ある日突然、プロジェクト・マネジメントを急に学ばなくてはならなくなった若手技術者を、主役に立てることにした。それが、中堅製造業の製品設計部門に働くエンジニア、小川君である。彼の会社の社長は、出張先のとある新興国の企業経営者と意気投合し、共同でその国向けの製品開発プロジェクトをはじめることを、決めてくる。 しかしご承知の通り、製造業の組織というのは、営業・設計・生産技術・資材・製造・・とい

    海外プロジェクトの質的変化と、成功体験の罠 : タイム・コンサルタントの日誌から
  • 中堅エンジニアのための経営戦略入門 | タイム・コンサルタントの日誌から

    Kさん、お久しぶりです。ご無沙汰しておりましたが、何年ぶりかで社に戻られたとのこと。お元気そうで何よりです。 普通の人なら「社にご栄転」おめでとうございます、という言葉遣いをするところでしょうが、それでは工場より社の方が「上」である、という意味になりますね。わたしは社も工場も企業組織の一部であって、それぞれ役割が違うだけだと考えているので、あえてそうは申し上げません。それに、社への異動が栄転なら、以前Kさんが工場に移動されたのは左遷だったということになってしまい、ますます不適当ではありませんか。 まあそんな事はともあれ、社の製品企画部門に移られて、あらためて「製品戦略とはいったい何か? 何をどう考えるべきか?」という、真ん中直球の問いが頭の中に生まれた、というあたりが、とてもKさんらしいと感じました。たしかにおっしゃる通り、戦略立案が社の重要な機能であることは多くの人が感じて

    中堅エンジニアのための経営戦略入門 | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 英国史上、最も偉大な技術リーダーに学ぶべきこと | タイム・コンサルタントの日誌から

    イザムバード・ブルーネルIsambard Brunel(1806-1859)の名前をご存じだろうか? 19世紀前半の英国を生きたエンジニアだ。生まれは今から210年前。その時代、英国は産業革命の成功を背景に、猛烈な勢いで勢力を伸ばし、北西ヨーロッパの島国から、世界最大の強国に成長しつつある時代だった。 BBC放送は2002年、「歴史上最も偉大な英国人」100人を選出した。1位はウィンストン・チャーチル。そして第2位がイザムバード・キングダム・ブルーネルだった(日では「ブルネル」と表記されることも多い)。ちなみに、3位はダイアナ妃、4位がチャールズ・ダーウィン、5位シェークスピア、6位アイザック・ニュートン、7位エリザベス一世・・という具合だ。偉大な科学者や文芸家たちをおさえて、第2位の地位を占めた技術者ブルーネルとは、どんな人物だったのか? 1835年、首都ロンドンと、大西洋に面する英国

    英国史上、最も偉大な技術リーダーに学ぶべきこと | タイム・コンサルタントの日誌から
  • Pushで教育し、Pullで成長する | タイム・コンサルタントの日誌から

    子どもがまだ小さかった頃、よく「きかんしゃトーマス」を一緒に見た。このイギリス製の人形劇は、どうやら英国社会を引き写しているらしく、階級制になっている。機関車はおおむね真面目で勤勉だが、彼らに引かれて走る客車はいつも適当な連中で、機会があればサボることを考え、しょっちゅう脱線事故などの面倒を引き起こす。つまり機関車(Engine)は、技術者(Engineer)のような中産階級を連想させ、客車はすぐにストやサボタージュをする労働者階級を思わせる、という具合だ。 あるとき主人公のトーマスが、例によって客車にトラブルを起こされ、手を焼いていた。すると、となりの線路をゴードンという機関車がちらとトーマスを横目で見て、「人生は勉強だな」といって通り過ぎるシーンがあった。きかんしゃゴードンは中年男を思わせる横柄なキャラなのだが、この台詞はなぜかぴったりと役にはまっており、見ていたわたしと連れ合いはその

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  • 見えない非効率 ー 今、動いているんだからいいじゃないか | タイム・コンサルタントの日誌から

    新任の取締役が、あるとき担当する事業部の支社を見に行った。一通り見学し、支社長らと懇談した後、かえろうとしたら、ある部署だけ灯りがついているのを見つけた。現場仕事はもう終業しているのに、管理部門の1セクションだけ、忙しそうに机にむかって仕事している。 「何をしているの?」と彼がたずねたところ、「社に送る書類を作成しているんですよ。毎月、数字をまとめて送らなけりゃいけないんで、残業になるんです。」との答えだ。資料を見て、さらにたずねる。「社は、この統計資料を見てどう役立てるんだろう?」「・・存じません。社にたずねてください。」 その取締役は社に戻ると、早速、送付先の企画部門にいって、その書類のことをきいてみる。すると、「ああ、その書類ですか。工場が毎月送ってくるんでね、ファイルして保管しているだけです」という。「でも、なんで工場はその書類を送ってくるのかな?」「さあ・・。」 いろいろ

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  • 国際人として最低でも守るべきたった一つのルール ~ 「ありがとう」と家族に対してでも言う | タイム・コンサルタントの日誌から

    (えーと、そういえばネットでは、何かを「嫌いだ」というセンテンスで文章を書き始めない方がいい、と聴いたことがある。好き嫌いは人それぞれだし、ネガティブな気持ちを発信すると、他人のネガティブな気分を引きつけるかららしい) でも、国際人とは一体、何を指すのか。わたしはそこが今ひとつ、分からない。ちなみに、国際人という言葉は、英語で何というのだろうか。International person? Cosmopolitan? どちらも、なんだか日語で言う「国際人」とはフィットしないような気がする。たぶん、そういう概念は存在しないのだ。無論、”international"という形容詞はもちろんあって、意味も確立している。ただし人に対しては、あまり使わない。活動だとか、カンファレンスだとか、組織に対して形容することが多いと思う。最近は国際人と呼ぶかわりに「グローバル人材」という言葉が大はやりだが、こち

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  • 『なぜ』からはじめよう - 仕事の目的を設定する | タイム・コンサルタントの日誌から

    たしか林達夫の西洋史に関する論考だったと思うのだが、「古代ギリシャは豊かなイメージがあるが、社会的な生産性はじつはかなり低かった。ギリシャ社会を支えていたのが、奴隷労働だったからだ」という説明を読んだことがある。林達夫はわたしの尊敬する思想家で、平凡社の『世界大百科事典』の編集長をやった博学の人だ。 人を動かすということが、技術リーダーとして面白い仕事をする必要条件だと、前回書いた。では、具体的に、人は何で動くのだろうか? 一番すぐに思いつくのは、給料などのお金だろう。お金という報酬で、人を動かす。会社というのは、そうなっている。業務上の命令通りに働けば、給料がもらえる。上司の覚えも良くなる。そむけば、叱責されて給料が下がったり、首になったりするかもしれない。つまりアメ(給料・昇進)と、ムチ(罰則・失職)で動かす訳だ。 ここで人を動かすために使われているのは、「強制力」(権力)である。強制

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  • 学ぶ時間をどうつくるか | タイム・コンサルタントの日誌から

    前回は、中堅エンジニアがモチベーションを失わずに成長するためには、自分の専門分野以外にも学ぶべきことがある、と書いた。ところで、ここに重大な問題が立ちはだかっている。それは、企業人の学ぶ時間が、次第にうばわれているという事実だ。 普通の企業人は、年間どれくらいの時間を「学び」にあてているのか? 平成23年度調査によると、正社員の延べ受講時間平均は39.5時間だ、という(「人事マネジメント」2012年11月号・門田政己氏の記事より)。 http://www.acroquest.co.jp/company/press/2012/img/20121206.pdf 年間に39.5時間ということは、月にわずか3.3時間だ。週に1時間もない。これでは「学び」どころか、技術やスキルの維持さえおぼつかないではないか。しかもこの数値には、新入社員の集合研修の時間なども含まれている。中堅層だけを抜き出したらも

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  • わたしが花粉症の薬を飲まずにすむようになった、1日3分の簡単な習慣 | タイム・コンサルタントの日誌から

    今年は暖冬だったせいか、早くから花粉症がひどい、という声をよく聞く。さすがに4月に入ってピークは過ぎたと思うが、人によっては連休の頃までつらい思いをしている。わたしも例年そうだった。 ところで、今年に限って、わたしは1回も花粉症のアレルギー薬を飲んでいない。 昨年までは花粉症の季節が近づくと、耳鼻科医院にかかって薬をもらうのが常だった。わたしの場合、涙や鼻づまりもあるが、一番こまる症状は頭痛だった。だいたい昼頃からぼんやりと頭痛の予感が始まって、午後から夜まで続く。偏頭痛と違って、頭の深部ではなく表層に近いところが締め付けられるように痛むのだ。目も疲れる。おかげで半日、仕事にならなくなる。そうした症状は春だけでなく、秋にもアレルギー気味になる時期が短いけれどもあって、その時にも飲んでいた。薬箱を見ると何種類もためした跡が少しずつ残っている。エバステルとかエピナスチンとか。最後に飲んでいたの

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  • 見えない壁に突きあたった中堅エンジニアが学ぶべき、三つのこと | タイム・コンサルタントの日誌から

    先週の4月2日(土)に浜松市で、合同シンポジウム「サプライチェーン戦略とプロジェクト・マネジメント」を開催した。主催はOR学会・日経営工学会・スケジューリング学会で、その配下にある「サプライチェーン戦略研究部会」(主査・日IBM 米澤隆氏)と、わたしが主査を務める「プロジェクト&プログラム・アナリシス研究部会」が実行主体だ。 講演者には、倉庫管理システムiWMSの開発元として有名な(株)フレームワークスの渡辺重光会長と、ヤマハの曽根卓朗主席技師のお二人をお招きした。お二人の話はどちらも非常に興味深いもので、渡辺氏はロジスティクスとIoTの広範な展望を話され、曽根氏は通信カラオケの製品開発を題材に、生々しい体験をお話しいただいた。最後にパネル・ディスカッションを行い、わたしもパネラーとして参加した次第だ。 幸い大勢の方に来ていただき、立ち見が出そうになったので椅子を補充したほどだった。製

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  • E-BOM(設計部品表)とM-BOM(製造部品表)の関係を考える | タイム・コンサルタントの日誌から

    拙著「BOM/部品表入門」(日能率協会マネジメントセンター・刊)が、再び増刷になった。おかげさまで、累計8,900部である。書は2005年1月の発刊だから、11年間にわたり現役のビジネス書ということになる。読者の皆様にあらためて感謝もうしあげたい。 ところで、この11年間、BOMをめぐる状況は変わったのだろうか? 正直に言うと、あまり大きくは進展していない印象である。相変わらず、いまだに多くの企業がBOMについて悩んでいる。いや、むしろ悩みは深まっているとさえ、いえよう。海外生産の進行やアジア市場への販売展開などで、サプライチェーンが海外まで確実に広がった。しかし、その現実にBOMの方がついていけていない。むしろBOMが、生産のグローバル展開の足かせにさえなっているようだ。 それだけではない。どうやら、BOMに関する基的な認識さえ、まだあまり進んでいない気がする。たとえば、“ウチの会

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  • 変わりたいですか? | タイム・コンサルタントの日誌から

    変わりたい、と思ったことはおありだろうか? 今の自分から脱皮したい、殻を割って変わりたい、“あの人は変わったね”と他者からいわれたい、と切実に思ったことは?——わたし自身は、もちろん何度もある。年の初めにあたって、今年こそは、と決心したことも一度や二度ではない。もしかしたら、新年にあたり、同じような抱負や希望を考えた人も多いのではないかと思う。 では、「あの人は変わったな」と感じた経験はあるだろうか? 他人を見て、ああ、あの人は以前と比べて随分変わった、そんな風に思ったことは? その場合、ふつうは外見とか職位とかの変化ではなく、内面やふるまい方のちがいを指すはずだ。髪型を変え新しい衣服を着たって、あるいは新しい名刺を振り回したって、それで他人から変わったと思われることは少ない。むしろ、話す内容が変わったとか、ふるまい方が随分ちがうとか、そうしたときに人は変化を感じる。 もちろん、「あの人は

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  • すべての製造業は受注生産かつ見込生産である | タイム・コンサルタントの日誌から

    そんなバカな、なんだこの記事のタイトルは? と疑った、そこの貴方。はい、このエントリは、そんな貴方のためのものです。そもそも生産形態は見込生産と受注生産に分けられ、受注生産はさらに個別受注・繰返受注・受注組立生産などのバリエーションに分類される、というのが生産管理の教科書に書いてある常識ではないか! と思った、意識の高い方。貴方のような方が、日の製造業を支えておられると思います。というのも、わたし達の社会で製造業に携わっている人はざっと1000万人くらいいるはずですが、自社の生産形態が何であるか、それが自社の競争力にどうつながっているかさえ、考えてみたことのない方が大半だからです。 ・・と、「ですます調」ではじめてしまったが、ここから先はいつもの「である調」に戻させていただく(笑)。ですます調も好きなんですけどね、まあ、他のエントリとのバランス関係上。 バランス感覚は、いつでも大切である

    すべての製造業は受注生産かつ見込生産である | タイム・コンサルタントの日誌から
  • トマト・ケチャップから考える米国のリショア(製造回帰)現象 | タイム・コンサルタントの日誌から

    ハインツ(ヘインズ)のトマト・ケチャップの瓶を見るたびに、“なんて米国的なモノなんだろう”といつも思う。あの、8角形のガラス瓶で、内容量がたしか11オンス(oz)だかのやつだ。わたしの小さな手で握ると、周囲が余る。もっと手のでかい、白人サイズなのだろう。白い金属のふたの下には、広口瓶のような何の変哲も工夫もないネックが現れる。これを手に持って逆さにして振って、ケチャップを出すのだが、なにせケチャップはどろどろしているし、瓶の口は直径が3/4インチ(2cm弱)くらいあるから、振ってもちっとも出ないか、あるいはドバッと出過ぎるか、どちらかなのである。その大ざっぱさがまた、ある意味アメリカ的だ。 驚くのは、そのシェアの大きさと均質性だ。全米のどこに行っても、堂ではこれが出てくる(家庭用に樹脂製容器を売り出したのは、何と今世紀に入ってからである)。瓶のサイズも全く同じ。もっといろんなサイズがあっ

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  • プロジェクトにおけるスケジュールと費用のトレードオフを考える | タイム・コンサルタントの日誌から

    9月にスケジューリング学会で「プロジェクトにおけるスケジュールと費用のトレードオフを考える」というタイトルの講演発表を行った。わたしがこの何年間か個人的に続けている『リスク基準プロジェクト価値』(Risk-based project value = RPV)分析の手法を用いて、スケジュール・リスクのコスト化という問題に初めてくさびを打ち込んだ研究の発表である。サイトに書くにはやや理屈っぽい話であるが、小さな学会でもあったので、ここにその要旨を(数式は極力飛ばして)再録する。 =================== 日揮株式会社の佐藤です。日は「プロジェクトにおけるスケジュールと費用のトレードオフを考える」というタイトルで発表させていただきます。 皆さん、ちょっとこういう問題を考えてみてください。皆さんはあるプロジェクトのプロマネです。このプロジェクトは全体納期に対して、1日10万円の遅延

    プロジェクトにおけるスケジュールと費用のトレードオフを考える | タイム・コンサルタントの日誌から
  • なぜ生産管理システムはちゃんと機能しないのか | タイム・コンサルタントの日誌から

    ずいぶん刺激的なタイトルではある。まるで佐藤は、生産管理システムを作って販売している大手の全ITベンダーを敵に回しているようではないか。だが、趣旨はまったく逆である。生産管理システムを使おうとしているユーザ企業(つまり製造業)の無意識に持っている前提や期待が、現今の生産管理システムのよって立つロジックとかけ離れている点を指摘しよう、というのがねらいだ。そうして、もっとユーザが不満を持たずにちゃんとITツールを使いこなせるようにできたら、と思ってこの文章を書いている。 もっとも、こう書くと今度はユーザ側から、「滅多なことは言わないでくれ。ウチはちゃんと生産管理システムを使っているぞ」と反論されるかもしれない。とくに結構な金額のソフトウェアを購入した現場ほど、そうであろう。社長に導入効果を聞かれて、いや、まだうまく動いていませんとはまさか答えられない。 経営者の側だって同じである。「はい、当社

    なぜ生産管理システムはちゃんと機能しないのか | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 忙しすぎる人のための手短な処方箋 | タイム・コンサルタントの日誌から

    「なんで1日は24時間しかないんだろう?」とはじめて思ったのは、大学3年生の秋だった。 朝から昼過ぎまでは授業。その後、ほぼ毎日、学生実験。なんとか夕方までに片付けると、すかさずサークルのあるキャンパスに移動する。それからサークルでイベントの準備。毎日9時ぐらいまでかかっていただろうか。それから外して家に帰る。家までは片道1時間半だ。帰宅してから、実験のレポート作成。化学工学の実験は、数字の計算量が半端でなく多い。だいたい寝るのは2時半か3時だった。そして翌朝6時半に起きる。これが毎日だ。今からは信じられないだろうが、当時の学校はすべて週休1日が当たり前で、土曜日も授業があった。 「ああ、1日が30時間、いやせめて27時間あれば、あと3時間は余計に眠れるのに」と切実に思った。そんな生活リズムは初めてだったから、まず胃腸がぶっ壊れた。昔から睡眠不足に弱いのだ。 そんな学生時代の自分に、誰か

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  • “仕事が面白くない”症候群とたたかう三つの方法 | タイム・コンサルタントの日誌から

    陽光の降り注ぐ戸外に、すっと立つ若い女性を下からのアングルで描いている。青空と白い雲をバックに、白いドレスと青いスカーフの立像。背景と人物に同系色を使いながら描き分けて、全体にちょっとドラマチックな階調を生み出している点が、この画家の手腕だ。顔はわざと表情を描いていないので、登場人物の内なる情念ではなく、ただ光と風の中に立つ喜びだけが、肌身の感覚として伝わってくる。 ところで、足元の草をよく見てほしい。もし手元の端末で拡大可能なら、画像を大きくして見てみるとよく分かるが、全体として夏草のように見えながら、個々には赤や水色や紫や緑など、ずいぶん原色に近い色彩が、まちまちな形に、ほとんど粗っぽい筆遣いで置かれているだけだ。そして彼女の来ているドレスも、よく近寄って見ると、当の白地はほとんどなくて、赤や青やその中間色が多彩に塗られていることが分かる。 それでも、普通の距離を置いて絵の前に立つと

    “仕事が面白くない”症候群とたたかう三つの方法 | タイム・コンサルタントの日誌から
  • プロジェクト・ポートフォリオ・マネジメントと、顧客を選ぶということ | タイム・コンサルタントの日誌から

    プロジェクト・ポートフォリオ・マネジメントという言葉をはじめて知ったのは2003年頃のことで、ITRという調査会社のレポートからだった。当時わたしは米国のPM関連製品について調べていたのだが、米国ではじつに100種類以上のPMソフトウェア・パッケージが発売されていた。その中でメジャーな商品は、ローエンドがMirosoft Project、ハイエンドがPrimavera Project Plannerというプロ向きの製品だった。Primaveraは大規模プロジェクトの計画とスケジュール・コントロールに特化した製品で、日ではごく一部の業界でしか使われていないため知名度が低いが、欧米ではエネルギー産業や航空宇宙産業に広く使われてきた。MS ProjectもPrimaveraも現在ではサーバ型製品が主流だが、10年以上前はPC上でのスタンドアローン・ユースが普通だった。ちなみに当時すでにASP型

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  • 在庫のデータ構造を考える | タイム・コンサルタントの日誌から

    「わたし」は新米のエンジニアである。最近、先輩からオフィス備品類の在庫管理を手伝うようにいわれた。ペンだとかノートだとかフォルダとかいった文具類が中心である。これまである意味、ルーズな管理だったが、経費節減の折、きちんと在庫数量を管理した方がいい、と部長が方針を出したとのことだ。今まで、各人が勝手にネットからモノを注文して取り寄せ、請求伝票だけが部の庶務係に回される。これをやめて、部で必要数量を考え、集中的に購入し、部のキャビネに保管しておく。そして各人が必要時に庶務係に申請して受け取る、という管理方式にかえることになった。その、キャビネの在庫管理の仕組み作りが、「わたし」の仕事だ。 在庫管理の仕事ははじめてだ。だからいきなり部の仕組みを作り始める前に、たとえば自分の家のモノを在庫管理するとしたらどうするかを考えてみることにした。題材は何でも良いが、出入りの多いべ物にしてみよう。 在庫管

    在庫のデータ構造を考える | タイム・コンサルタントの日誌から