わたしが3年前に技術評論社から上梓した『世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書』は、製造業で働く若手エンジニアを主人公にした、ストーリー仕立ての本である。基本的な内容は、東大の大学院で教えている「プロジェクトマネジメント特論」の講義資料をベースにしているのだが、淡々とした記述のテキストなど、誰も興味をひかれないだろう。それにわたしは、対話形式の文章を書く方が、なぜか筆が進みやすい。 そこでこの本では、ある日突然、プロジェクト・マネジメントを急に学ばなくてはならなくなった若手技術者を、主役に立てることにした。それが、中堅製造業の製品設計部門に働くエンジニア、小川君である。彼の会社の社長は、出張先のとある新興国の企業経営者と意気投合し、共同でその国向けの製品開発プロジェクトをはじめることを、決めてくる。 しかしご承知の通り、製造業の組織というのは、営業・設計・生産技術・資材・製造・・とい
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