安倍政権が約60年ぶりとなる農協組織の改革に着手し、農協側の同意を得た。改革の背景にある日本の農協の特殊性と今後の課題を考える。 2014年、戦後日本政治における最大の圧力団体である農業協同組合(農協=JA)の改革が、とうとう政治のアジェンダに載った。安倍晋三政権が推進する環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉の最大の障害である農協の政治力を削(そ)ぐ必要があったのだろう。 今回の農協改革については本稿の後半で詳しく述べるが、その前に、改革の背景にある日本の農協の特殊性について説明したい。 農協の組織原理が作り上げた高コスト体質第2次世界大戦後の日本の農協は、終戦直後の食糧難の下でコメを農家から政府へ集荷するために、金融から農産物集荷まで農業・農村の全ての事業を行っていた戦時中の統制団体を衣替えして作った組織である。このため、他のどの法人にも許されない銀行業(貯金や融資などの信用事業)の兼
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