第1部 企業を取り巻く環境の構造的変化 世界経済は、従来の常識をはるかに超えたスピードで構造変化を遂げている。冷戦構造の崩壊と前後して、市場主義経済圏の急速な拡大が始まって以降、国内・国際経済は連関(リンケージ)の度合いをますます強め、経済連携・水平分業の動きが加速している。そうした中で、財・サービスの流れは、多様なチャンネルを通じて一層複雑化しつつある。また、ICT(情報通信技術)の発展は、時間の壁、距離の壁、知識の偏在という障壁の克服に寄与した。その結果、国際競争の激化と人類が経験したことがない未曾有の変化が生じている。 一方で、地球環境問題、地域紛争の増加など、経済発展の制約となる課題も増えつつある。 地域ごとにスピードの差はあるものの、世界経済は総じて拡大基調で進んでいる。このような中で、日本経済は2002年初めから、景気の回復基調が続いている。今回の景気回復は好調な輸出を契機に、