からだと感覚にズレが生じて「自分のからだなのに自分でない感覚」「自分のからだじゃないのに自分のように感じる」に陥る不思議な現象を「からだの錯覚」研究を通して科学的に解説する小鷹研理さん。 からだのどこかが痒いのに、いざそこを掻こうとしても、痒いところが探し当てられない経験をしたことがないでしょうか? じつは、この「痒いところに手が届かない」現象は、自分のからだに対する感覚を知る、重要なヒントが隠されているというのです。 痒いのに、「痒いところ」がない! 突然ですが、みなさんは、身体のどこかが痒(かゆい)のだけれど、いくら探ってみてもどこが痒いのかがわからなくて、とてもイライラした、というような経験はありませんか。 筆者も、稀にですが、過去にこうしたことに遭遇したことがあります。自分の左足の甲の一部に強烈な痒みを感じて、その周辺の皮膚を爪でボリボリと掻いてみますが、残念ながら、全く手応えはあ