笹帽子 @sasaboushi 島アンソロジー #貝楼諸島より 参加作品 * 鳥も通わぬ流刑島。そんな言葉は全くの嘘だと、静かに揺れる船の上で女は思った。水平線に堂々と突き出す山塊の上空に、芥子粒のように小さい鳥の影が旋回している。この船しか持たない自分には、そびえる海食崖がひどく恐ろしい。叩き付けられて砕け散り、潮に飲まれる自分を思うと身震いがする。けれど空を飛ぶ鳥ならば、いささかも怖くはないだろう。 女は汗を拭い、ゆっくりと船を浜へ寄せていく。傍らに座る男は、呆けたように島の断崖を眺めている。髪を剃られた後頭部の大きな痣が痛々しい。 つみびとよ 替魂島へ流れ つみとがをもて 燃える山に登れ 青の島の炎 その体を替え 心を替え つみとがを流し 魂を替えん 女は低い声で歌った。歌うのが決まりだ。 罪人を船でこの島へ運ぶ。朝、罪人を島へ降ろす。罪人は島の不思議な力によりその魂を清められる。
この記事についてこの記事は、文芸同人・ねじれ双角錐群メンバーで行われた読書会のレジュメを公開するものです。課題本は文芸同人・第三象限によるSFアンソロジー『あたらしいサハリンの静止点』。前半3作品/後半3作品の2回に分けて開催したうち、本記事では後半3作のレジュメを公開します。 前回の記事はこちら レジュメは、事前に共有編集状態にして参加メンバー全員で自由に書き込む形式で作成しています。読書会はKindle電子書籍版に準拠して実施し、ページ数などの位置情報はKindleで開いたときの「位置No.」で示しています。 『あたらしいサハリンの静止点』についてはこちら グラス・ファサード筆者自身による創作メモ: https://saitonaname.hatenablog.com/entry/2020/08/31/225109 「プロットを書かない代わりに大量の脱線文章を書くことでメインとなるプロ
この記事についてこの記事は、文芸同人・ねじれ双角錐群が2022年 文学フリマ東京35にて発表したSF短編アンソロジー『故障かなと思ったら』について、文学フリマでの発表前に同人メンバーで実施した読書会のレジュメを公開するものです。 このレジュメには、各作品を楽しむためのヒントがちりばめられているかもしれません。適宜ご活用ください。 石井僚一「森/The Forest」一言レイ・ブラッドベリ「みずうみ」からのずらし具合が絶妙すぎて良いよく見るとけっこう別の話になってるのに、ちょっとした場面とかぜんぶベースになってるのがわかるのすごいですよね……もちろん湖/森の、なんだろう、ちょっと魔法っぽい場(「はる!まほうだよ……」のダメ押しよ!!)みたいなのはちゃんと共通してるし婉曲的な話運びに圧倒されました。持ち合わせた感性に絶対の自信を持って話の輪郭を描ききる力に畏怖さえ覚えます。単純に文章がとにかく
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