文学フリマへ行くのは久しぶりで、天空橋から浜松町行きのモノレールへ乗り換えると、座席が通常の二条式鐡道とは異なる配置であるため、非日常の車内暖気がやわらかく私の周囲へ漂いだし、ああこれからモノレールで流通センターへ向かうのだな、そしてあの混雑へ身を投じるのだな、という気持ちが否応なく持ちあがる。 そして昭和島駅にて空港快速の通過待ちをしていると、曖昧然とした心細さが具体的な不安となって胸中へたちこめてくる。毎年の通例行事でも慣れないのに、ましてや今回はコロナ禍による数年のブランクがあるため、その不安は数倍増である。いっそ仮病だのペットの急病だので帰ろうかと考えるが、ここまで来て不義理を働くのも心無い、となれば行くしかないのだ、覚悟をかため行くのだ、と叱咤して流通センター駅へ降りたてば、同じような淀んだ空気感の黒ずくめの眼鏡着用率の高い集団が忙しなく行きかい、ああ彼らは〈同類〉なのだな、と考