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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (9)

  • 人間が「どうなっているか」と、人間が「どうあるべきか」の間で問いつづける哲学『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』

    人間が「どうなっているか」と、人間が「どうあるべきか」の間で問いつづける哲学『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』 わたしの人間観を更新する一冊。 もっと正確に言うと、進化心理学・行動経済学・認知科学の研究を通じ、わたしが抱いている「人間とはコレコレである」人間観がアップデートされつつあることを教えてくれる。 書は、吉川浩満氏の論文・インタビュー集である。発表媒体によりモチーフは異なれど、テーマは「人間とは何か?」になる。「人間とは何か?」という問いかけを、「人間がどのように”見える”か?」という人間観にした上で、その変遷を、人工知能、認知バイアス、利己的遺伝子、人新世という様々な斬り口から掘ってゆく。 よくあるサイエンス・ノンフィクションと異なるのは、「(人が)どうなっているか」の科学的解説に、道徳哲学の「(人が)どうあるべきか」議論をぶつけているところ。おかげで、認知科学の進展を

    人間が「どうなっているか」と、人間が「どうあるべきか」の間で問いつづける哲学『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』
    satzz
    satzz 2018/09/06
  • 『世界システム論講義』はスゴ本

    「なぜ世界がこうなっているのか?」への、説得力ある議論が展開される。薄いのに濃いスゴ。 世界史やっててゾクゾクするのは、うすうす感じていたアイディアが、明確な議論として成立しており、さらにそこから歴史を再物語る観点を引き出したとき。「こんなことを考えるの私ぐらいだろう」と思って黙ってた仮説が、実は支配的な歴史観をひっくり返す鍵であることを知った瞬間、知的興奮はMAXになる。 たとえば、「先進国(developed)」と「途上国(developing)」という語に、ずっと違和感があった。「後進国」は差別的だからやめましょうという圧力よりも、この用語そのものが孕む欺瞞を感じていた。 なぜなら、この語の背景として、近代化・工業化が進むというプロセスがあるから。なんなら、進化のメタファーを使ってもいい。産業構造が一次から高次に転換するとか、封建社会から資主義社会に"進化"するといった欧米の経済

    『世界システム論講義』はスゴ本
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    satzz 2016/02/10
  • 『時間SFの文法』決定論/時間線の分岐/因果ループ

    面白くて危険な書。 「時間SF」とは、特殊な時間世界を設定した上で、時間旅行のような特殊な経験を描いた作品を指す。タイムトラベルとかループものといえばピンとくるだろう。 著者は、古今東西の小説映画、アニメにおける時間SFを読み解きながら、基的なアイディアや物語パターンを整理する。その上で、現代の時代感覚と照応するアイロニーやニヒリズムをあぶりだす。様々な定義や区分けを行っているが、代表的なものを書き出してみた。 タイム・トラヴェル型(意図した時間に計画的にジャンプ)タイム・スリップ型(否応なしに強いられた時間移動)シャッフル型(ジャンプ先がランダム)歴史改変型歴史不変型並行世界型生き直しパターン再生パターン反復世界型逆行もの(時を遡上する)異時間通信もの(メッセージが時を超える)偶然世界型(些事の積み上げの中に分水嶺が潜む)改良偽装型自己増殖型時の果てを望む(時間の外へ) ハインライン

    『時間SFの文法』決定論/時間線の分岐/因果ループ
    satzz
    satzz 2016/02/08
  • ビブリオバトル+みんなでブックハンティング(3/23)

    オススメをプレゼンして、「いちばん読みたい」を決めるビブリオバトル。そのものとの出会いも嬉しいけれど、それ以上に、を媒介して読み手に出会えるのがメリット。3/23(土)に新宿タカシマヤの紀伊國屋でやるので、出場しまする。 せっかくの出撃なので、グループ・ブックハンティングしよう。ツイートしながら店内を巡回しているわたしを捕まえて、一緒に棚をめぐるのです。お互い、スゴをオススメあいましょう。赤いウェストバックを斜めに掛けたオッサンがいたら、わたし。お気軽に声を掛けてくださいませ。 3/23(土) 紀伊國屋書店新宿南店 14:00~ 店内巡行、いっしょにグループハンティングしましょう ・ワクワクをつなぐ棚 ・ソーシャルデザインの棚 を襲撃し、1F(コミック)4F(文庫)を行き来します 16:00~ ビブリオバトル第3ゲームに参戦

    ビブリオバトル+みんなでブックハンティング(3/23)
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    satzz 2013/03/12
  • ビブリオバトル@文京区図書館

    行ってきた・見た・勝った。 オススメをプレゼンして、聴衆に「いちばん読みたい一冊」を決めてもらうビブリオバトルに行ってきた(もちろん発表者として)。まったりアツく語り合う「スゴオフ」とは真逆のベクトルだけれども、テーゼは一緒「人を通じてを知ること、を通して人を知る」になる。 バトル形式とはいっても、殺伐感覚は無い。討論やディベートではないそうな。だいたい、話し手も聞き手も「が好き」で共通しているから、未読なら「そんながあったのか!」になるし、既読なら「そう読んだのか!」で和気あいあいとなる。持ち時間は1人5分でプレゼン+質疑応答を2分で1ターン、これを発表者分まわす。一巡したら投票して多数決で「チャンプ」を決める。 今回は文京区図書館で初開催のやつに参加してきた。若者からお年寄りまで、40人くらいの観客に、発表者は7名という構成。普通は大学や大型書店で実施されるので、図書

    ビブリオバトル@文京区図書館
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    satzz 2011/06/07
  • この本がスゴい2010: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    今年もお世話になりました、すべて「あなた」のおかげ。 ともすると似たようなばかりに淫するわたしに、「それがスゴいならコレは?」と教えていただいたおかげ。もちろん、好きなだけ・屋さんだけで完結しても問題ない。それでも全部読むのに一生以上かかるだろう。だけど、自分の地平を拡張するため、あえて知らない趣味、行かない場所に足を運ぶ。その収穫が、沢山の「あなた」からのオススメになる。昨年までの探索結果はこの通り。 このがスゴい!2009 このがスゴい!2008 このがスゴい!2007 このがスゴい!2006 このがスゴい!2005 このがスゴい!2004 さらに、今年は「スゴ」のチャネルを増やしたぞ。「スゴオフ」と銘打って、リアルでの交流を図ってきた(直近だとスゴオフ@ミステリを12/3にするよ)。ネット越しと違うのは、圧倒的な情報量。おすすめをプッシュする熱とエントロピーが

    この本がスゴい2010: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
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    satzz 2010/12/02
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    好きなを持ち寄って、まったり熱く語り合う読書会、それがスゴオフ。 に限らず、映画音楽ゲームや動画、なんでもあり。なぜ好きか、どう好きか、その作品が自分をどんな風に変えたのか、気のすむまで語り尽くす。 この読書会の素晴らしいところは、「それが好きならコレなんてどう?」と自分の推しから皆のお薦めが、芋づる式に出てくるところ。まさに、わたしが知らないスゴを皆でお薦めしあう会なのだ。常連さんはもちろん、初参加の方も歓迎、「最近行ってないなー」という方もぜひぜひ。 ■日時 4月7日(日)13時~18時(受付開始12:30~) 途中入場・途中退出OK ■場所 HENNGE 11階ラウンジ 東京都渋谷区南平台町16番28号 Daiwa渋谷スクエア ■テーマ マンガ(もちろんコミックに限らず、マンガが原作のアニメーション、映画ゲーム、舞台なんでもあり) ■会費 1,000円(軽、飲み物

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
    satzz
    satzz 2010/12/02
  • 「死ぬときに後悔すること」ベスト10

    余命、数週間。不自由な体、満足に歩くこともできない。日中も寝ている時間が多くなり、頭もうまくはたらかない ──そんな人生の最終章の人に向かって、こう問いかける。 いま、後悔していることは、何ですか? 「死ぬときに後悔すること25」の著者は、終末期における緩和医療に携わる医師。現場で見聞した、「余命いくばくもない状態で、後悔すること」をまとめたのが書なのだ。得られた答えは、多様でいて一様だし、複雑なようで単純だったりする。 もうすぐ自分が死ぬと分かっている人が、何を悔いているのか。これを知ることで、わたしの人生で同じ後悔をせずにすむのだろうか。考え考え読んで、いくつかの「先立つ後悔」を得ることができた。後悔は後からしかできないものだが、これはわたしにとって「先悔」となるものを、ランキング形式でご紹介。書では25章に分かれているが、わたし流にベスト10に絞ってみた。 第10位 健康を大切に

    「死ぬときに後悔すること」ベスト10
    satzz
    satzz 2009/08/15
  • 既成概念を粉砕する「奇想遺産II」

    既成概念を粉砕する建造物の写真集。「奇想遺産」[レビュー]の続編なんだが、より破壊度はパワーアップしている。 グローバリズムの掛け声により均質化してしまった世界へのアンチテーゼとして、書は生まれたそうな。おかげで奇妙キテレツな建物がこれでもかとでてくる。もちろん「見慣れた」「有名どころ」の建物もあるが、それはそれ、なぜその建物が「奇想」なのかが解説される。 例えば、表紙の「ニューヨーク、ニューヨーク」。ラスベガスのストリップ通りにあるホテルなんだが、エンパイアステートビル、クライスラービル、自由の女神といったニューヨークを象徴する建物を縮尺コピーしている。その「模型」のあいだを時速100kmで駆け抜けるジェットコースターは聞いたことがあった。 けれども、一体なぜ、こんな「模型」を作ったのだろうか。解説がふるってる。アメリカはヨーロッパという物をコピーするのを止めて、アメリカ自身を堂々と

    既成概念を粉砕する「奇想遺産II」
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