食事をする、移動をする、働く、遊ぶ、語り合う。私たちが生きていく上で抱く欲求や願い、それを実現するための行動。それらが自分の思うままに叶えられないー「障害」があるというとき、その原因はどこにあるのだろうか。 かつては、障害の原因は本人の側にあるという「医学モデル」の考え方がスタンダードだった。しかし1980年代以降、「障害というものは、皮膚の内側にあるものではない、皮膚の外側にあるものだ」という「社会モデル」への認識の転換が起こる。 法律や福祉サービスの制定・改正、生活環境のバリアフリーやユニバーサルデザイン、身体を拡張するテクノロジーの開発と普及。先人たちの「当事者運動」の結果、さまざまな制度や社会環境の整備が進んでいった。 そして近年では、困りごとのある当事者が、医師や支援者ではなく、自分自身が主役となって困りごとの正体を研究する、「当事者研究」というムーブメントが広がりを見せている。