企業が溜(た)め込んだ内部留保をどうやって吐き出させ、経済成長につなげるか。さまざま動きが出始めた。前回この連載で「内部留保優先の経営」からの脱却が必要だと書いた(日本人の賃金が増えない根本理由 「内部留保優先の経営」から脱却せよを参照)が、政府もそこに日本経済が成長しない根本原因があると気付いている。内部留保の額が過去最大を更新し続け、2018年度には463兆円に達した中で、手をこまねいていられないところまで追い詰められたということだろう。 19年9月の内閣改造に合わせて行われた自民党の役員人事で、税制調査会長に就任した甘利明衆議院議員は、就任と同時に企業の内部留保を投資に回す環境を整えるための税制上の優遇措置を検討する考えをぶち上げた。党の税制調査会長は税制改正に大きな権限を持つポストで、会長ら「インナー」と呼ばれる非公式幹部会が事実上の決定権を握る。 かつては山中貞則会長が税調のドン