物質に閉じ込めらずに済むデジタル社会を前提にすると、これまで100年続いてきた都市計画の方法論や都市像の持ち方は抜本的に変わるのではないか。コロナ禍で見直しが迫られる中、我々がこれまで学んできた都市の在り方の何が通用し、何が通用しなくなっているのか。都市計画家の饗庭伸氏と建築家の豊田啓介氏の議論の中編を掲載する。 豊田 都市計画家として、饗庭さんが現在関わっている主な領域、あるいは関心を持っている領域はどの辺ですか? 饗庭 近年、中心市街地などの再生のために、都市空間の機能を能動的に読み替えて使いこなそうとする動きが現れています。すごく好きなので応援していますが、あとは現場がいかに工夫するのかという実践フェーズに移っているので、自分のアカデミックな興味の対象からは外れています。 学者として今の僕は、保守的な立ち位置にいるのかもしれません。というのは、その盛り上がっている能動的な動きに乗っか