ブックマーク / xtech.nikkei.com (599)

  • 経産省も反省する「2025年の崖」の顛末、SIerを肥え太らせた偽りのDXの行方

    DX(デジタルトランスフォーメーション)ブームのおかげで、SIerをはじめとする人月商売のITベンダーが肥え太る――。目まいがしそうになる現実が進行している。企業がきちんとDXに取り組んでいるのなら、人月商売ベンダーがしばしの間、肥え太っても構わない。だが、老朽システムの単なるモダナイズにすぎない「偽りのDX」で肥え太っているのだから話にならない。 事の発端は、2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート」だ。もう4年半も前の報告書だが、IT関係者なら誰もが「2025年の崖」という強烈なキャッチコピーを覚えているはずだ。というか、肥え太った人月商売ベンダーは今でもこのキャッチコピーをフル活用している。当の経産省も大いに反省しているようだが、まさに「2025年の崖」はSIerらを無意味に肥え太らせた「元凶」となってしまった。なぜDXを推進するはずの施策が、老朽システムの単なるモダナイズ

    経産省も反省する「2025年の崖」の顛末、SIerを肥え太らせた偽りのDXの行方
  • SASEの中核技術「SWG」、サイバー攻撃を防ぐ仕組みを徹底図解

    SASE(Secure Access Service Edge)を構成する多様な技術の中で、中核となるのは不審なWebサイトへの接続や危険なファイルのダウンロードを防ぐSWG(Secure Web Gateway)、クラウドサービスの利用状況を可視化するCASB(Cloud Access Security Broker)、利用者や端末の状態を都度確認し、アクセスを制御するZTNA(Zero Trust Network Access)だ。ここでは、SWGの役割と動作を見ていこう。 危険なサイトやマルウエアを遮断 SWGは、WebサイトやSaaS(Software as a Service)などと利用者の端末の間でやりとりするデータを検査し、安全を確認できたデータだけを中継する技術だ。クラウドサービス上のプロキシーサーバーとして動作する。 主に3つの目的がある。1つは、フィッシング詐欺などに悪

    SASEの中核技術「SWG」、サイバー攻撃を防ぐ仕組みを徹底図解
  • 事業会社とコンサルに吸い込まれるITエンジニア、SIerの人手不足が危ない

    ITエンジニアの争奪戦がかつてないほど激化している。 パーソルキャリアが発表した2022年12月の「エンジニアIT・通信)」の転職求人倍率は12.09倍と全職種でトップ。前年同月比で2.21ポイント増、前月比で1.64ポイント増と人気に拍車がかかっている。2023年1月は11.17倍と前月比で0.92ポイント下がったものの、全体平均の2.34倍を9ポイント近く上回っている。 求人倍率高騰の背景にあるのが、事業会社やコンサルティング会社によるITエンジニアの囲い込みだ。情報処理推進機構(IPA)の調査によれば、2020~2021年にIT企業から転職した人の半数以上が事業会社に転職している。 日ではITエンジニアの7割がベンダー側に所属するとされ、事業会社のシステム開発はSIer(システムインテグレーター)らが人海戦術と多重下請け構造を生かしながら請け負ってきた。人手不足により同構造は今の

    事業会社とコンサルに吸い込まれるITエンジニア、SIerの人手不足が危ない
  • 苦境のCCCに手を差し伸べた三井住友FG、Tポイント・Vポイント統合合意の舞台裏

    共通ポイント業界が揺れ動いている。ヤフーの離脱などで苦境に陥っていた「Tポイント」を手掛けるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)。同社に手を差し伸べたのが、メインバンクの三井住友銀行を傘下に抱える三井住友フィナンシャルグループ(FG)だった。CCCは資金面などで後ろ盾を得た形だが、足元でTポイントの有力加盟企業がマルチポイントへの移行を表明するなど、先行きは予断を許さない。 「トップダウンで交渉が進んだからこそ、短期間で基合意までこぎ着けられた」。CCCの関係者は三井住友FGとの資業務提携の舞台裏をこう明かす。この関係者によると、CCCの創業者である増田宗昭社長と三井住友FGの太田純社長が意気投合し、約2カ月で基合意に至ったという。両社は2022年12月末までの最終合意を目指している。 提携の中身はこうだ。まずCCC傘下でTポイント事業を展開するCCCMKホールディングス(H

    苦境のCCCに手を差し伸べた三井住友FG、Tポイント・Vポイント統合合意の舞台裏
  • ECIで前倒し施工、馬毛島の自衛隊基地

    防衛省は2023年1月12日、鹿児島県西之表市の馬毛(まげ)島で自衛隊基地の新設工事に着手した。同省から支出委任を受けた国土交通省の九州地方整備局が、係留施設や滑走路など6件の工事を発注した。離島での大規模工事を前倒しで進めるため、施工者になる予定の建設会社が設計段階で技術協力するECI(アーリー・コントラクター・インボルブメント)方式を採用。工事の契約金額は計約1680億円に上る。

    ECIで前倒し施工、馬毛島の自衛隊基地
  • 慶大生の8割が利用、知られざる大学生限定SNSアプリが人気の理由

    大学生の間でひそかなブームを呼んでいるアプリがある。学生専用SNS(交流サイト)アプリの「Penmark(ペンマーク)」だ。時間割作成から履修管理、出席記録、授業のレビュー、学生同士のSNSまで、大学生活全般をカバーする。 新型コロナ禍でつながりを断たれた大学生の需要をとらえ、提供開始から3年余りで慶応義塾大学生の8割、関連アプリを含めると全国の大学生の5人に1人にまで普及した。大学生限定SNSが人気の理由とは。 前沢友作氏も注目、時間割を起点にした学生生活支援アプリ 「大学の授業の情報収集から時間割作成、履修状況や授業の評判の共有まで、プライベートを含めた大学生活全般をサポートする」。運営会社ペンマークの横山直明最高経営責任者(CEO)は、同社サービスの意義をこう説明する。自身も慶大生の横山CEOは、「入学後に入ったサークルに応じて、大学生活に必要な情報へのアクセスのしやすさが異なるとい

    慶大生の8割が利用、知られざる大学生限定SNSアプリが人気の理由
  • バッチ処理が時間内に終わらない、原因はサーバーではなくまさかの「ルーター」

    サーバーのバッチ処理が時間内に終わらないとの相談が顧客から寄せられた。ログを調べると、バッチ処理に使用するマスターデータの生成に時間がかかっていた。このためデータを生成するデータベースサーバーを調べたが異常は見つからなかった。それもそのはず、原因はネットワーク上に存在する1台のルーターだったのだ。 不具合が報告されているハードやソフトを利用するシステムでトラブルが発生したら、その不具合が原因に違いないと考えるだろう。実際、不具合が原因であることが多い。だが一方で、不具合とは無関係の箇所に原因が潜んでいる場合もある。この場合、トラブル解決は往々にして難航する。 顧客企業のシステム運用を請け負うチームのリーダーだったラックの七沢樹さんが直面したトラブルがまさにこのケースだった。七沢さんはどのようにして原因を突き止めたのだろうか。 時間内に終わらず子会社の業務に支障 七沢さんたちのチームが運用を

    バッチ処理が時間内に終わらない、原因はサーバーではなくまさかの「ルーター」
  • 2つの駅舎を一体の空間に、うねる膜屋根で夜景を彩る

    新・長崎駅は長崎市で「100年に1度」といわれる大規模開発の核となる。象徴的な存在とすべく、長さ約260mのうねる膜屋根を架けた。夜、その屋根が照明で照らされ、長崎市の夜景に花を添える。 長崎港に向かって南北に延びる真っ白な膜屋根は、風を受けた帆のようにうねった形をしている。港町らしい、そのたたずまいも夜になると一変する。照明が屋根を下から照らし、世界新三大夜景都市と名高い長崎市の夜景を彩るのだ。夕闇にぼうっと浮かび上がる姿は、中国ちょうちんを飾る冬の風物詩「長崎ランタンフェスティバル」を彷彿(ほうふつ)とさせる〔写真1〕。

    2つの駅舎を一体の空間に、うねる膜屋根で夜景を彩る
  • 丹下のメタボリズム建築を改修、大成建設が「幹」を内側から補強

    世界的建築家の丹下健三(1913~2005年)が東京・銀座で手掛けた「静岡新聞・静岡放送東京支社」の改修工事が2022年5月に完了した。円筒形のコアを中心に竣工当時の設計思想を継承し、内側に鋼板と炭素繊維を重ねて耐震性を高めた。メタボリズム(新陳代謝)建築が相次ぎ解体される中、オフィスビルの機能を向上させて建物の保存活用を実現した。 南側から見た、静岡新聞・静岡放送東京支社の全景。丹下健三が手掛けたメタボリズム建築の1つとして、1968年発行の『新建築』では「1のシャフトによっても、そのシンボリックな性格を持つロケーションと相まって成り立ち得るのではないか」(記事の文責は丹下と共に設計に携わった山岸 洌)と解説されている。敷地は外堀通り沿いにあり、東京高速道路と東海道新幹線の高架がそばに通っている(写真:安川 千秋) 東京・銀座の外堀通りに沿って立ち並ぶオフィスビル群の南端に、円筒形の建

    丹下のメタボリズム建築を改修、大成建設が「幹」を内側から補強
  • 名古屋の超高層ビル建設現場で3度目の事故、今回は6階からボルトが落下

    2022年11月10日午後1時18分ごろ、名古屋市中区栄の超高層ビルの建設現場で、地上約30mの高さから長さ5cmのボルトが1、現場近くの歩道に落下した。負傷者はいなかった。この現場では、7月26日に隣接する歩道が陥没する事故が発生。8月8日には地上約140mから重さ約5kgの鋼板が落下するなど、事故が続いている。 ボルトの落下事故があったのは、名古屋市中区栄4丁目にある中日ビルの建て替え工事の現場。落下したのは直径2cm、長さ5cm、重さ230gの六角ボルトだ。建設中の地下5階・地上33階建ての超高層ビルの6階部分から、南側の道路を挟んだ向かい側の歩道に落下した。発注者は中部日ビルディング(名古屋市)で、設計・施工は竹中工務店が担当している。 事故当日は、ボルトで仮留めした鉄骨のフレームをクレーンでつり上げて、地上6階部分の外壁に取り付ける作業をしていた。ただし、落下したのは仮留めに

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  • 生コンの値上げが止まらない、露呈した商習慣の課題にメス

    東京17区の生コンクリート(強度18N/mm2、スランプ18cm、粗骨材の最大寸法25mm)の価格推移。2022年10月は1m3当たり1.78万円に跳ね上がった。20年10月から25%以上増えた(資料:建設物価調査会の資料を基に日経アーキテクチュアが作成) 「製造および運搬コスト等と組合員実手取り額との差異は、100億円規模となり、これが全て生コン工場の負担となる」。東京地区生コンクリート協同組合は9月13日、このように窮状を訴え、旧契約分の生コンの値上げに踏み切ると発表した。対象は17年12月1日~22年5月31日に契約を結んだ生コンで、1m3当たり500円、価格を引き上げる。 東京生コン協組は22年6月1日の契約分から、1m3当たり3000円という過去最大の値上げを実施したが、旧契約分を値上げするのは今回が初めて。なぜこのような事態に追い込まれたのか。生コンの商流をひもとけば、原因が見

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  • 新卒採用に「IT人材」枠設けるニトリHD、採用担当が語る事業会社で働く魅力とは

    2024年春卒業予定の大学生の就職活動が早くも序盤戦に突入している。リクルート就職みらい研究所が2022年11月に発表した調査によると、2022年9月時点で学生の74%が既にインターンシップなどに参加済み。外資系の一部業種・職種など、選考を始めている企業もある。 学生は国の指針である「2023年3月会社説明会、6月選考開始」を1つのスケジュールの目安としつつ、選考が格化するまでに企業研究を進めることが求められる。 特集ではITベンダーやIT人材の採用に積極的な事業会社の新卒採用者を直撃。IT業界を志す学生が自身のキャリアプランを考える手掛かりとなるよう、各社担当者の生の声をお届けする。なお、政府の方針で2024年卒の広報解禁は2023年3月であるため、具体的な採用計画や選考フローなどは2023年卒向けの情報を基に記載している企業もある。 豊富なIT人材を社内で抱え、「システム内製」に積

    新卒採用に「IT人材」枠設けるニトリHD、採用担当が語る事業会社で働く魅力とは
  • Starlink用アンテナを分解、カスタムICと1016個の素子がずらり

    「思っていたよりシンプルですね。既存技術の集合体という感じです」――。分解に立ち会ったアンテナに詳しい技術者は、アンテナ基板と素子を見ながら感想を口にした。 米スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)が提供する衛星ブロードバンドインターネット「Starlink」。日国内では2022年10月からKDDI(au)がサービスを提供している。このStarlink用の衛星通信アンテナを分解してみると、構造はシンプルながらもカスタム品と思われるICが多く使われていた。 一般向けに提供されているStarlink用の衛星通信アンテナには、新旧で2種類の形状がある。直径が約600mm弱の円盤状のものが旧型で、縦303mm×横513mmの長方形のものが新型である。今回分解したのは新型のアンテナだ(図1)。

    Starlink用アンテナを分解、カスタムICと1016個の素子がずらり
  • 「ラスボスCOBOL」に挑んだベイシア、2万本のプログラムをいかにリライトしたか

    カインズやワークマン、ベイシアなどから成るベイシアグループは、メインフレームの撤廃とCOBOL資産のマイグレーションを2022年5月に完遂した。約3年をかけたプロジェクトの全容を2回に分けて見ていく。 「基幹系システムが足かせになってはならない」 ベイシアグループはメインフレームベースのシステムを約20年前から徐々にクラウドサービスなどに移行してきた。しかし一部の商品マスターや発注・在庫管理などの機能を備えるベイシアグループ共通システムと、ベイシアの基幹系システムはメインフレームに残っていた。記事ではこの2システムを便宜上、基幹系システムと呼ぶ。 この基幹系システムは富士通製メインフレーム上にプログラミング言語のCOBOLで開発したアプリケーションを稼働させたものだ。もともとベイシアグループはスーパーマーケットのベイシアからスタートし、ワークマンやカインズなど新会社を次々に立ち上げてきた

    「ラスボスCOBOL」に挑んだベイシア、2万本のプログラムをいかにリライトしたか
  • H3の主エンジン「LE-9」、目標は「H3打ち上げコスト50億円以下」

    の次期主力ロケット「H3」の最終試験ともいうべき第1段実機型タンクステージ燃焼試験(CFT)が成功した。2023年3月ごろに予定されているH3初号機打ち上げは、秒読み段階に入ったといってよい。しかし、仮に初号機打ち上げが成功したとしても、それで全てが完結するわけではない。むしろ、そこからがH3の成否を決める正念場といえる。では、何が成否の鍵を握るのか。科学技術ジャーナリストの松浦晋也氏が解説する。第2回は、H3の主エンジンであるLE-9が抱える課題だ。 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めている「究極の使い捨てロケット」であるH3。それを象徴するのが、新開発の第1段エンジン「LE-9」だ。LE-9の特徴は、「エキスパンダー・ブリード・サイクル」の採用にある。構造がシンプルで低コストだが、来は小型のロケットエンジンに向いているエンジンサイクルを、大型ロケットであるH3のエンジン

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  • GMOペパボが画像処理に「Rust」採用、なぜ「Go」ではダメだったのか

    Rustは米モジラ財団が支援するオープンソースのプログラミング言語だ。強い静的型付けを採用するコンパイル言語であり、型やメモリーの安全性、並行性などを重視している。文法は、中カッコによるブロックの指定、ifやforによる制御など、C/C++に似ている。 では、開発現場はどのようにRustを活用しているのだろうか。Rustを使ったシステム構築を進めるGMOペパボの事例を基に、その導入効果を探る。 できるだけメモリー使用量を抑えたい GMOペパボは2014年からWebサービス「SUZURI」を展開している。ユーザーが作製した画像をTシャツやトートバッグなどのグッズにプリントし、そのグッズを購入・販売できるサービスだ。 同サービスでは、ユーザーが画像をGMOペパボのサーバーにアップロードすると、プレビュー画面が表示される。プリント後のグッズがどのような見栄えになるのかを確認しやすい。例えばTシャ

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  • H3初号機打ち上げが視野に、問われる「使い捨て型」の強み

    の次期主力ロケット「H3」初号機の打ち上げがついに、現実の日程として見え始めた。2014年に開発を開始してから8年が経過。当初予定していた2020年から2年遅れて、やっと最後の難関である1段実機型タンクステージ燃焼試験(CFT)の成功にたどり着いたのだ。しかし、初号機打ち上げで全てが完結するわけではない。むしろ、そこからがH3の成否を決める正念場と言える。何が成否の鍵を握るのか。科学技術ジャーナリストの松浦晋也氏が解説する。第1回はH3ロケットが抱える技術的課題だ。 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が2014年から開発してきた「H3」ロケット。その開発の最後の関門と言える1段実機型タンクステージ燃焼試験(CFT:Captive Firing Test)が2022年11月7日に終わった。取得データの詳細な解析で問題が見つかる可能性もある。とはいえ、試験が終了した直後のデータを

    H3初号機打ち上げが視野に、問われる「使い捨て型」の強み
  • 「すずめの戸締まり」の「閉じ師」の代役は誰か

    2016年公開の「君の名は。」では巨大隕石(いんせき)の落下、19年の「天気の子」では多雨による都市の水没──。アニメーション映画新海誠監督は近年、自然災害を描いたファンタジー作品で注目を集めてきた。22年11月11日公開の最新作「すずめの戸締まり」では地震というテーマに挑んだ。

    「すずめの戸締まり」の「閉じ師」の代役は誰か
  • 立川市役所の庁内LAN障害、原因は「Edgeブラウザーへの移行」

    2022年6月27日、東京・立川市役所で大規模な通信障害が発生した。出先機関を含めた1000台以上のパソコンで終日、窓口作業ができなくなった。庁内LANの心臓部となるコアスイッチの障害が原因だった。コアスイッチに向けて大量の通信が発生し、メモリー不足に陥った。原因特定に時間がかかり、完全復旧に1週間を要した。 グループウエアの挙動がどうもおかしい――。東京都立川市役所の庁舎内がざわつき始めたのは2022年6月27日、始業時刻である午前8時半ごろのことだ。ほどなく市役所のITインフラストラクチャー運営を担う総合政策部情報推進課のもとに、「窓口業務用の情報システムにアクセスしづらい」「内線電話が通じなくなった」といった職員らの困惑した声が続々と寄せられるようになった。 情報推進課はただちに障害箇所の特定に乗り出した。庁内ネットワークのメンテナンスを委託している保守事業者と連絡を取り合い、担当

    立川市役所の庁内LAN障害、原因は「Edgeブラウザーへの移行」
  • 楽天グループが「オンプレ回帰」を決断、パブリッククラウドからIT基盤を戻す狙い

    楽天グループがオンプレミス(自社所有)環境のプライベートクラウド「One Cloud」を拡充し、グループ企業の各種事業が用いるIT基盤の統合を進めることが日経クロステックの取材で分かった。現在、パブリッククラウドで稼働させているシステムが多数あるが、原則としてOne Cloudへシフトしていく。グループ全社でIT基盤のプライベートクラウドへの集約を進めてコスト効率を高めるほか、IT基盤のノウハウを蓄積し安定稼働やセキュリティー強化につなげる。 プライベートクラウドは、新たに参入を計画する法人向けITサービスの基盤にも活用する。計画するのは人確認に使うeKYCやWebサイトのアクセス分析、電子決済の機能などだ。いずれもグループの事業で使うために開発した技術で、従量制のパブリッククラウドサービスとして外販する方向で準備を進めている。 部分的だったOne Cloudの利用、まず楽天市場で全面採

    楽天グループが「オンプレ回帰」を決断、パブリッククラウドからIT基盤を戻す狙い