若い時にがんを発症した「AYA(アヤ)世代」と呼ばれる患者への対策が課題になっている。がん患者全体に占める割合は小さいが、希少がんを含めがんの種類は多い。進学や就職、結婚、出産など人生の節目に直面し、ほかの世代とは違った悩みを抱えている。 治療・相談の充実、国が議論 東京都内に住む齊藤太樹さん(32)は9年前、足に点状の内出血があるのに気付いた。11歳で慢性骨髄性白血病にかかったが、骨髄移植を受け、症状は落ち着いていた。看護師になり1年ほどで仕事がひと通りできるようになったと思った矢先に、働いていた病院で検査を受け、今度は急性リンパ性白血病と判明した。 「5年生存率も知っていた。半分の確率で死ぬと覚悟した」。一方で、入院中に見舞いに来た看護師の友人の話に「自分がベッドで寝ている間も仕事しているんだ」と孤独さを感じた。 臍帯血(さいたいけつ)移植を受けて1年後に復職。「一からやり直しか」と再
相模原市の障害者殺傷事件を受けた再発防止策で、政府は4月から全国の保健所などに精神保健福祉士約200人を配置できるようにする。措置入院した患者が退院した後も継続支援を行う中心的な役割を担ってもらい、対応を強化する。 参院で審議中の新年度予算案に、保健所や精神保健福祉センターを持つ自治体が人件費として使えるよう地方交付税を10億円上積みして計上した。 今国会に提出した精神保健福祉法改正案では、本人や家族らを交えて退院後の支援計画をつくる調整会議の設置を都道府県と政令指定市に義務づけている。精神保健福祉士は調整会議の責任者で、生活支援などを進めていく調整に当たる。 精神保健福祉士の資格を持つ専門家は常勤で保健所などで働いてもらう方針。厚生労働省は1人当たり35人程度の患者らを担当すると想定している。 <アピタル:ニュース・フォーカス・その他> http://www.asahi.com/apit
自分や家族ががんになったら――。2人に1人ががんにかかるといわれる今、こうした悩みが身近になっている。治癒率の向上や入院日数の短縮でがんを抱えながら家庭や職場で過ごす人も多い。先ごろNPO法人マギーズ東京が「自分を取り戻す居場所」を掲げて施設を開設。病院でも相談支援に力を入れ始めた。東京のゆりかもめ「市場前」駅から歩いて3分。東京湾に面した空き地の一画に木造のおしゃれな建物が立っている。昨年1
バジルのパスタを食べようとしたときだった。 午後9時半すぎ、西日本にある児童相談所(児相)でいつものように残業をして帰宅したワーカー(児童福祉司)のケイコ(仮名)の携帯電話が鳴った。遅い夕食とはいえ、夫と向かい合い、ほっとした時間を過ごそうとしていた。 児相からの着信に胸騒ぎがした。この日の夜は、緊急事態が発生すれば、対応しなければならない当番にあたっていた。 病院から、虐待が疑われるとの通報があったという。小学生が脳振盪(しんとう)を起こして運ばれたので、病院に行って確かめてほしいとの依頼だった。 ケイコはすぐに自宅を飛び出した。車を運転して約1時間。ほかのワーカーと病院で落ち合い、父親から何があったのかを聞いた。「質問しても息子が何も答えなかった。小突いた後に押し倒し、足で踏んづけた」とケイコに話したという。子どもは吐き気を訴え、そのまま入院した。 帰宅したのは午前0時すぎ。夫はすでに
「○○ちゃん、すごーいね。○○くん、すごーいね」 9月14日、東京都渋谷区にある民間の療育機関「チルドレン・センター」の教室。自閉症の子ども7人と、椅子を取り合う集団遊び「フルーツバスケット」を楽しみながら、セラピストの女性が手拍子とともに歌っていた。 2時間の集団指導。テーブルの上にあるB4判1枚の個人記録に、当日の子どもの様子がデータとして次々と書き込まれていく。ストップウオッチのタイマーが、頻繁に「ピピッ」と鳴り響く。壁に張られたカリキュラムには、チョコバナナ作りや工作などの予定が5〜15分おきに詰め込まれていた。 センターは東京と米ニューヨークを拠点にして、応用行動分析学(ABA)を基に自閉症児を療育している。臨床心理士や教師、保育士、ソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなど、さまざまなバックグラウンドがあるセラピストが20人体制で活動。2008年から年間約120人、延べ100
就職や仕事の悩みを抱える難病患者を対象に、和歌山県難病・子ども保健相談支援センターは11月から毎月1回、和歌山市紀三井寺の和歌山県立医科大学附属病院3階の同センターで相談を受け付ける。ハローワーク和歌山職員が出向き、担当する。同センターの湯川仁康さんは「病状やどこまで働けるかは人それぞれ違う。きめ細やかな支援をしたい」と話している。 「通院しながら働きたいが、会社に配慮してもらえる か」「難病であることを会社に伝えた方がいいか」と、働き方に悩む患者は少なくない。ハローワークは昨年5月から各都道府県に1人ずつ専任の難病患者専門就職サポーターを設置し、月10日対応している。 センターでの出張相談では専門員が個室で1時間耳を傾けるほか、センター職員や看護師、社会福祉士らを交えての相談もでき、一人ひとりの病状に合わせ、就労支援や助成金の情報などを伝える。また、家族や事業者からの相談にも応じる。 毎
高齢のがん患者とは異なる治療や対応が必要な小児や「AYA(アヤ)世代(思春期・若年成人世代)」と呼ばれる若いがん患者について、厚生労働省が長期にわたる支援体制の整備に乗り出す。さまざまな立場の医療者が加わる支援チームの育成を目指し、2017年度予算の概算要求に研修などの費用として3200万円を盛り込んだ。AYA世代を対象にした厚労省による支援は初めて。 AYAは「Adolescent(思春期) and Young Adult(若年成人)」の略語で、国内に明確な定義はないが、15〜39歳とされることが多い。国立がん研究センターの推計(12年)によると、AYA世代のがん患者は計2万1572人で、がん患者全体の2.5%と少ない。しかし、治療時期が進学や就職、結婚、出産などと重なり、社会的・精神的な支援が求められる。治療に当たって、15歳未満の小児がん…
乳児の虐待死を防ごうと、厚生労働省は来年度、望まない妊娠に悩む女性を支援するため、産科医療機関などに児童福祉司らを配置するモデル事業に乗り出すことを決めた。 貧困や未婚などで悩む妊産婦の相談に乗り、出産後の生活をサポートすることで虐待予防につなげるのが狙い。まずは全国10か所で事業を始め、検証したうえで全国に広げたい考えだ。 厚労省によると、虐待死の詳細な検証を始めた2003年度から13年度までに虐待で亡くなった18歳未満の子供は582人(心中を除く)。このうち0歳児が256人(44%)と年齢別では最も多く、生後24時間以内の死亡は98人(17%)を占めた。 0歳児が被害者となったケースの大半は実母が加害者で、若年や未婚などによる望まない妊娠や経済的困窮、精神疾患などが背景にあったものが目立った。
14日夜以降、熊本県を中心とする九州地方で地震が相次いでいることを受け、医療や介護の団体でも被災地を支援する動きが出ている。日本医師会(日医)は避難所にJMAT(日本医師会災害医療チーム)を派遣。介護系の団体は介護福祉士を被災地に送り出したり、義援金を募集したりしている。【松村秀士、ただ正芳】 【関連記事】 災害時リハ支援、東京都協議会が本格検討へ(2015/09/01) すそ野広げる災害医療研修、実践的と高評価(2015/03/11) 14日夜から相次いで起きている地震によって、熊本県では多数の死者が出るなど、大きな被害が出ている。自宅を離れて避難している人は熊本、大分両県で約10万人に達しているほか、避難生活の影響による肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)の発症も確認されている。 ■JMATで新たに約200人派遣へ―日医 日医は20日現在、各都府県の医師会と協力し、37チーム(1
難治性精神疾患の地域連携体制の整備を進めるモデル事業について、厚生労働省は都道府県などに対し、事業主体に独立行政法人を追加した実施要綱を通知した。精神科病院と血液内科・麻酔科などがある医療機関とのネットワークや支援体制の構築が必要なため、国立病院機構の病院が事業を活用することを促している。【新井哉】 【関連記事】 スピード解説!報酬改定【精神・認知症】(2016/02/18) 後回しにしがちな医療者のセルフケア(2015/12/02) 本気の対策、きっかけは職員の自殺未遂(2015/12/01) 総合病院の精神患者受け入れ、報酬で推進へ(2015/10/27) I・II群の精神病床、保護入院を評価へ(2015/10/26) 自殺未遂者の救急搬送、地域連携で減らせ!(2014/07/27) 精神科救急医らプロ集団、被災地に迅速展開(2014/01/12) 精神病床に入院中の難治性精神疾患の
大阪府は15日、自殺行為を繰り返しがちな未遂者を1年間継続して支える制度を始める。新設の「府自殺未遂者支援センター」に精神保健福祉士が常駐。相談に乗り、悩みの解決を目指す。再び自殺を図る恐れが高い退院直後を重視した。厚生労働省の担当者は「全国的にも先進的な取り組みだ」としている。 府内16の救命救急センターから、大阪大学付属病院や大阪府泉州救命救急センターなど4カ所が参加。府の委託を受けた関西医大付属滝井病院(守口市)が15日に支援センターを開く。 睡眠薬の大量服用や手首を切るなどして救急搬送された未遂者から、ケースワーカーらが自殺を図った要因を聞き、評価書を作成。本人が希望した場合に、支援センターへ引き継ぐ。センターには専任の精神保健福祉士1人が常駐。退院から1週間後、1カ月後、3カ月後など定期的に、未遂者や家族と話し合う。さらにうつ病や失業、借金などの症状や悩みを解決するため、精神科や
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